宇宙ニュートリノ観測情報融合センター

概要

 宇宙ニュートリノ観測情報融合センターは、ニュートリノ、および、それに関連する研究を行うことを目的として、1999 年に設立されました。本センターのメンバーはスーパーカミオカンデ実験に参加するとともに、大気ニュートリノ、および、加速器ニュートリノ振動実験T2K のデータを用いて、ニュートリノの性質に関する研究や、宇宙の高エネルギー天体からのニュートリノ放射を探索する研究を行っています。

 そして、理論と実験の交流をはかるなどして、ニュートリノ研究の新たな道を探っています。また、次世代大型実験計画であるハイパーカミオカンデにも参加し、検出器の要である50 センチ口径光電子増倍管の開発研究や、2026 年に予定されている検出器の建設準備を推進し、将来にわたってニュートリノ研究を発展させるべく活動を続けています。

 本センターは、本研究所の共同利用研究の役割も果たしています。ニュートリノに関する研究の受け入れはもちろん、本研究所の施設利用として、計算機委員会と共に全国の宇宙線研究者が本研究所の共同利用で使用される大型計算機システムの運用をしています。本計算機システムは、総数約3300 コアを持つ CPU、9 ぺタバイトの大容量ディスク、18 ギガバイト/ 秒のデータ転送性能を持ちます。宇宙線観測実験で得られた大量のデータを解析し、また、高いCPU 能力が要求されるシミュレーションデータの生成が可能です。2020 年度に更新が行われて以来、安定に運用されています。また、一次線グループの共同利用研究の受け入れ窓口をつとめており、地下の低バックグラウンド実験室の運営を行っています。その他、計算機利用のみの共同利用研究や、将来計画等に関連した研究会の受け入れを行っています。

 一般の方向けに行われる宇宙線研究の啓蒙活動も支援しています。本研究所では2009 年以来、春と夏で年に2 回カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) と一般講演会を共同で開催しており、そのうち春については本センターが宇宙線研究所広報室と共同で企画・実施をしています。2023 年度は4 月22 日(土)に柏の葉カンファレンスセンターで一般講演会「ガンマ線で見る天文学と医学」を開催し、本研究所の瀧田正人教授、Kavli IPMU の竹田伸一郎特任助教を講師にお招きし、銀河系内に起源を持つとされる宇宙線源 PeVatron(ぺバトロン)の探索や、ガンマ線観測の医学分野への応用ついてご講演いただきました。また会場参加者の質問に答えるという形で、講師お二人によるクロストークも行われました。会場には約150 名の方が参加されました。また、本講演の様子は YouTube でも配信され、約500 名の方が視聴し、再生回数は約1000 回になりました。

2023年4月22日に行われた合同一般講演会の様子

宇宙ニュートリノ観測情報融合センター