“AI時代の理系英語コミュニケーション: 論文執筆、履歴書からレ フェリー交渉まで”, “論文英語の鬼門: 時制と仮定法” / 坂野正明 (ワイズバベル 英文校閲・日英翻訳: Twitter/@WiseBabel)

ICRRセミナー

番号R5-9 /  IPMU/ICRR joint seminar
日時2023年12月20日(月) 13:30-15:00, 15:00-16:30
場所宇宙線研究所6階大セミナー室(601)+ Zoom: URL https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/87034284601?pwd=ZXFlNzFtcFE2Q0FqaUVWMUJQT2ZJdz09
講演者坂野正明 (ワイズバベル 英文校閲・日英翻訳: Twitter/@WiseBabel)
タイトル“AI時代の理系英語コミュニケーション: 論文執筆、履歴書からレ フェリー交渉まで”
“論文英語の鬼門: 時制と仮定法”
概要“AI時代の理系英語コミュニケーション: 論文執筆、履歴書からレ フェリー交渉まで”
 ちゃんとした英語文章を書くとき、自分の英語が本当に意図通り伝わるのか、不安感がなかなか拭えない経験がありませんか。母国語でさえ書き言葉は難しいところ、英語ならばなおさらなのはもっともです。その時、明日からでも実行できる最大の対策は、理路整然と書くことにつきます。それは論 文であれあるいは交渉事の通信であれ共通の大原則です。
 近年はChatGPTなどAIベースの優れたツールも登場してきました。しかし、元々筋が間違っていたりあるいは入り組んでしまっている文章を正確で読みやすいものにしてもらうことは期待できません。実はAI時代だからこそ、今まで以上に書き手の資質が問われるとも言えます。むしろ、AI生成の十把一 絡げの文章があふれかねない近未来こそ、書き手として何か光るものを出したいものです。
 本講演では、理路整然とした筋の立て方と、それを英文として確実に伝達する作文方法について、本質的でかつ具体的、実戦的なアドバイスをまとめます。近年の補助ツールの発展の功罪にも触れます。過去データ機械学習をベースとするAIに特有の欠点であるコンプライアンス的問題についても言及し、グローバル時代を生きる人々のコミュニケーションに一つの指針を提供します。英国在住20年超、論文他の英文校閲を主業とし、日本語を母語とする理系研究者や学生の英文に見られる典型的傾向を熟知する講演者によるセ ミナーです。

“論文英語の鬼門: 時制と仮定法”
 英語で論文を書く時に最も迷うことになるのが動詞の使い方、端的には時 制、助動詞、そして仮定法でしょう。英語を読むのは読めても、自分で書く 段になると迷うことが多く、時に「間違え」ます。文法的には正当でも、意 図したことを正確に伝えられないことがしばしば起こり、時には深刻な誤解 を生むことさえあります。そしてたちの悪いことに、文法チェッカーソフト や汎用AIでは検出できないことが多いです。すべては筆者の意図もしくは事実と文脈次第であることが大半だからです。AIも含めてソフトは一般にファ クトチェックまでは行いませんから。
 時制、助動詞、仮定法は、学校英語では別々に習います。しかし実は互いに密接に関連しあっているので、本来は一緒に学習するべきものかも知れませ ん。本講演では、これら「動詞の使い方」を俯瞰的に見直して整理することで、日本語母国語者がその使い分けになぜ迷うか、なぜ誤るかの点に迫りま す。そして実際の論文および査読者宛の手紙にありがちな例を用いて、実戦的なアドバイスを提示します。