東京大学柏キャンパス一般公開2024

【2024年10月26日(土)】うちゅうカフェ「わたしの研究について!」

オープンキャンパス

【2024年10月26日(土)】うちゅうカフェ「わたしの研究について!」

 うちゅうカフェには毎回、宇宙・素粒子の研究に取り組む若手研究者が登場します。皆様の寄付で支えられている若手支援基金をもとに募集・採用され、研究を進めるICRRフェロー(研究員)が中心です。
 今回は、東京大学柏キャンパスを拠点に研究を進める高エネルギー天体グループの澤田涼さんと、チベット実験、ALPACA実験グループの藤田慧太郎さんの二人に登場してもらい、研究者を志した学生時代から現在の研究に至るまでと、普段の生活や趣味などについて自由に語ってもらいます。

参加方法及びYouTubeのご視聴について

宇宙線研究所6階の大セミナー室で開催されますが、1階ピロティでも大型モニターで視聴が可能です。また、YouTubeの生中継及びアーカイブ配信も行います。こちらのURLはすでに下記に公開していますので、ぜひご視聴ください。
https://www.youtube.com/live/HayrpEQuAK0

【2024年10月26日(土)】うちゅうカフェ「わたしの研究について!」

特任研究員(ICRRフェロー) 澤田涼さん

 スピーカーの1人目は、澤田涼さん(ICRRフェロー)です。
 奈良県出身の澤田さんは、京都大学から、同大学大学院理学研究科に進学し、2020年3月に博士後期課程を修了し、理学博士の学位を取得しました。
 大学学部では、原子核ハドロン研究室に所属し、学部4 年次卒業研究として「Cosmological 7Li problemの解決策として 4He(α, n)7Be 反応の断面積測定および解析」を行いました。Cosmological 7Li problemとは、宇宙初期のビッグバン元素合成に残された未解決課題であり、その解決には、原子核物理からの解決策・観測データを与える天文学からの解決策のほか、この宇宙の起源について新物理の存在による解決策の可能性をも秘めています。澤田さんの研究では、原子核物理からの解決策をひとつ否定する結果となり、2016年に欧文学術誌Physical Review Letters に掲載されました。さらに、この平成28年京都大学総長賞および平成29 年原子核談話会特別賞を受賞しました。
 大学院からは、専門分野を天体物理へと移しながら、学部での経験を生かして「超新星爆発の内部でおこる原子核反応」についての研究を現在も行っています。超新星爆発とは、太陽より8倍以上重たい大質量星が進化の最後に起こす爆発現象です。そして超新星は、宇宙において中性子星やブラックホールが生まれる瞬間のイベントでもあります。その根本となる「超新星はどのようにして爆発するのか?」は、既知の4つの相互作用(強い力、弱い力、電磁気力、重力)がすべて重要な働きを担う複雑な現象でありながら、爆発機構解明は天体物理学の未解決問題とされています。澤田さんはこれまで、この問題を解く数少ない観測的手がかりとして、超新星内部での元素合成に注目して理論的な爆発機構解明を目指してきました。
 趣味はお笑い、漫才をすることです。

【2024年10月26日(土)】うちゅうカフェ「わたしの研究について!」

特任研究員(プロジェクト研究員) 藤田 慧太郎さん

 スピーカーの2人目は藤田 慧太郎さん(プロジェクト研究員)です。
 大阪府出身の藤田慧太郎さんは、大阪市立大学在学中に、米国ユタ州を拠点とする北半球最大の宇宙線観測実験であるテレスコープアレイ(TA)実験に参加し、研究を進めてきました。特に、大学院では、1017電子ボルト付近の宇宙線の到来頻度と、到来する宇宙線の種類を詳細に測定する研究に取り組みました。その結果をまとめて2022年に博士号を取得しました。
 その後、東京大学宇宙線研究所に特任研究員として着任し、TA実験のさらなる低エネルギー拡張計画にも携わり、2023年の新たな観測設備の稼働に注力しました。これにより、低エネルギー域における宇宙線の観測精度向上を図っています。また、南半球で最高エネルギー宇宙線を観測しているピエールオージェ観測所との合同解析グループにも参加し、宇宙線の観測技術やデータ解析における国際的な協力を深めています。
 現在は、1014−1020電子ボルトの超高エネルギー宇宙線観測を通じて、宇宙線の起源や加速機構の解明に向けた研究を進めており、宇宙の最も過酷な環境下で発生する極限的な現象の理解を目指しています。今年からは、南半球でのガンマ線観測を目的としたALPACA実験にも参加し、特に1015eV付近の宇宙線の起源を明らかにすることに注力しています。
 趣味としては、「小学生のころからサッカーをやってきましたが、近年はもっぱら観戦がメインです。もう昔みたいに動けないですね」とのことです。