〈うちゅうカフェ〉わたしの研究について!

オープンキャンパス

〈うちゅうカフェ〉わたしの研究について!

 うちゅうカフェには毎回、宇宙・素粒子の研究に取り組む若手研究者が登場します。皆様の寄付で支えられている若手支援基金をもとに募集・採用され、研究を進めるICRRフェロー(研究員)が中心です。
 今回は、東京大学柏キャンパスを拠点に研究を進める二人の外国人研究者に登場してもらいます。スペイン・ラパルマにあるチェレンコフ宇宙望遠鏡による高エネルギーガンマ線の観測・研究を進めるドイツ出身のMarcelさんと 、岐阜県飛騨市にある大型低温重力波望遠鏡KAGRAで重力波の観測・研究に取り組む中国出身のYuhangさんです。
 宇宙線研究所を拠点に、自らの研究に取り組む意気込みと、日本での生活や文化についての興味などについて語ってもらいます。

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特任研究員(ICRRフェロー) Yuhang ZHAOさん

 スピーカーの1人目は、Yuhang ZHAO(ICRRフェロー)さんです。中国東北部の瀋陽市出身のYuhangさんは、2014年に北京師範大学の在学中、重力波実験の研究をスタートさせました。現在はICRRフェローとして、大型低温重力波望遠鏡KAGRAの観測の邪魔になる様々なノイズの低減に取り組んでいます。2017年から文部科学省の奨学金を受け、総合研究大学院大学で、周波数を一部絞り込んだレーザーを使ったKAGRAのノイズ低減について研究した後、博士号を取得。国立天文台の研究員を経て、今年4月にICRRフェローに就任しました。
 「国際コラボレーションの中で仕事をするのはとても良い経験で、科学的な成果を出すため、どのように効率的なコミュニケーションを行い、シナジー効果を出していけば良いかを日々、学んでいます。とても挑戦的な課題に対し、全ての研究者とそれぞれの知識を総動員し、問題を解決するために努力することにより、技術や能力も身につくし、何よりもよい経験となっています」と語ります。
 Yuhangさんの趣味は、美しい森や花々、人々、建物の間を走ったり、ハイキングすることです。緑茶や煎茶、コーヒーなど温かい飲み物も大好きです。

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特任研究員(ICRRフェロー) Marcel STRZYSさん

 スピーカーの2人目は、Marcel STRZYSさん(ICRRフェロー)です。Marcelさんの出身はドイツ西部の小さな都市イゼルローンで、デュッセルドルフから車で1時間ほど東に行ったところです。大学ではドルトムント工科大学に在籍していましたが、2011年10月に6ヶ月間、研究のためにICRRに滞在する機会を得ました。Marcelさんはこの滞在でICRRがとても好きになり、2020年にミュンヘンのルートヴィヒ・マクシミリアン大学とマックス・プランク物理学研究所で博士号を取得した後、研究員としてICRRを拠点に研究する道を選びました。来日から半年後の2020年4月からは、ICRRフェローとして、チェレンコフ宇宙ガンマ線グループに所属しています。
 Marcelさんは「ICRRでは、スペインのカナリア諸島ラ・パルマ島にあるチェレンコフ宇宙望遠鏡(MAGIC、CTA)で観測したデータの解析、つまり撮像画像をプログラミングと統計的な処理で分析する研究に取り組んでいます。私の研究テーマは、星が爆発した跡つまり超新星残骸から衝撃波として放出されるガンマ線の研究です。超新星残骸は、宇宙空間を飛び交う宇宙線の起源と考えられており、私たちの研究所名にもつけられています」と語ります。
 Marcelさんの趣味はハイキングと、最近では弓道を楽しんでいるそうです。