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各研究グループ
SDSS (宇宙線基礎物理研究部門) [研究所HP]
研究目的と装置
SDSS(スーロンデジタルスカイサーベイ)グループは米国・日本・ドイツの大学・研究所で構成する国際協力研究で、人類史上最大規模の宇宙地図を作ることを目指しています。

装置は、米国アリゾナ州に設置した口径2.5m の広視野専用望遠鏡(図1参照)と、同時に5色の天体画像を撮る合計1.4億画素のモザイクCCDカメラ、そして約600本の光ファイバーを用いた分光器です。

装置すべてが世界最高のサーベイ性能を誇ります。天体画像からは天体の位置と明るさが、色分布画像からは物理情報が、分光観測からは天体の赤方偏移(距離相当)と詳細な物理情報が得られます。

SDSSは 100万個の銀河と10万個のクェーサー(QSO)のデ−タ取得を目指します。画像のみの銀河は1億個におよび、今までに人類が観測した数の1000倍になります。デ−タ量のみでなく精度も均一で最高のものを目指しており、これまで曖昧であった天体の等級も物理的な側面から再定義し、小型の専用望遠鏡で常に基準星との較正を行っています。これらの緻密な作業が、天文学に量と質との両面で画期的な情報革命をもたらします。

SDSSのデ−タは、近傍銀河の詳細な分類と進化、銀河団の構造と進化などの研究に根本的前進をもたらすと期待されます。さらに、膨大で均一な銀河デ−タが宇宙の大規模構造の精密な決定を可能にし、宇宙進化の理解に画期的な進歩をもたらすと期待されます。
研究の実況
図1: 広視野専用望遠鏡 (写真左端)

1998年5月のファーストライト、1999年の観測装置の調整を経て、2000年秋より本サーベイを開始しました。2001年4月時点でサーベイ全体の約20%の画像データと約20万天体の分光データが得られています。2001年夏にはデータの一部を公開する予定です。

SDSSは、赤方編位が5.0と5.8のQSOの発見に加え、2001年5月には6.0と6.3のものも発見しました。さらにT型・L型などの低温度星、銀河系内の新たな構造なども発見しました。精度面でも、近傍銀河の精密な高度関数が得られるようになりました。
図2: SDSSが観察したZ<0.15の銀河分布 図3: SDSSが発見したZ=6.0とZ=6.3のQSOのスペクトラム