【オンライン一般公開2020】
<うちゅうラボ②>重力波望遠鏡KAGRAの仕組みを知ろう!
レーザー干渉計の組み立てとKAGRA解説 約170人が視聴

トピックス

 質量による時空のゆがみが、さざ波のように伝わるという重力波。その重力波を観測する装置であるレーザー干渉計の仕組みを知ろうという企画です。いつもは5人1組のグループで小型のレーザー干渉計を卓上で組み立ててもらいますが、オンライン開催の今回は博士課程3年の山田智宏さんとKAGRA広報担当の大林由尚さんのお二人にご協力いただき、掛け合いで実演と解説を進めてもらいました。

柏キャンバスと重力波観測研究施設を結んで開かれたうちゅうラボ②

 まず、大林さんが重力波とは何か、どのように検出が可能となるのか、について解説したのに続き、山田さんがレーザー干渉計を15分ほどで組み立てに挑戦しました。うまく干渉計のアライメントが取れず、「ここの部分をカットしてください」と弱音を吐く場面もありましたが、光学定盤を叩きながら鏡の角度の微調整を続け、干渉のポイントをすぐに探り出し、光の干渉を利用してクラシックの音源を聴く様子を披露。山田さんは「これはPCの音源がそのまま流れているのではありません。音源が鏡の一つを振動させ、その振動が鏡の間の相対距離を変えて光の干渉に影響を及ぼし、それが電圧に変換され、スピーカーから音として流れているということです。実際、片方の光を遮ると聞こえなくなります。・・・このレーザー干渉計は腕の長さが十数センチで、アライメントもすぐに取れましたが、KAGRAの場合は片方の腕の長さが3000メートルもあり、アライメントを取るのに数週間はかかります」と、実感を込めて語りました。

 続いて大林さんが、米国のLIGO、伊国のVirgo、独国のGEO600、日本のKAGRAという世界の重力波観測ネットワークの現状について説明。KAGRAも本格観測を開始でき体勢を整えたものの、COVID-19の影響でLIGO、Virgoが運転を停止したため、GEO600との共同観測を少し継続した後に運転を停止し、2022年からの共同観測に備えていること。さらに、太陽質量の30倍という大きなブラックホールが存在することなど重力波の観測によって新たにわかったことや、今後期待されるスーパーカミオカンデとKAGRAによる同時観測の可能性(超新星爆発)などにも触れ、「今後も新しい発見が続々とあると思いますので、ぜひ期待してください」と締め括りました。

山田さんが取り組んだレーザー干渉計の組み立て

 本中継は10月31日までのアーカイブ配信も含め、約170人に視聴いただきました。大変ありがとうございました。