重力波望遠鏡KAGRAのYアームが貫通しました

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2014年1月2日追記

Yアームトンネル貫通の様子を動画でご覧ください。

Original Article

2013年12月5日午後2時半頃、岐阜県神岡町の山中に建設中の大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)の2本のアームのうち、Yアームが貫通しました。

貫通したKAGRAのYアームの前で。

KAGRAは、それぞれ3キロメートルの長さを持つ2本のアームを持つ、世界で唯一の地下重力波望遠鏡です。このため、神岡町の池の山地下200メートルのところで、2012年5月より、合計6キロメートルの掘削を目指して工事が進められてきました。 

今回貫通したのは、2本のアームが交わる最南端に位置する跡津入口から北北西に伸びる、Yアームと呼ばれるトンネルです。跡津方面、およびアーム先端部に位置する茂住方面の両端から掘り進め、跡津方面から1,754メートルの位置で貫通を果たしました。もう1本のアームであるXアームは、跡津方面から掘り進めており、現在既に、アーム全長の4分の3ほどに達しています。

世界初の重力波検出を目指し、工事は急ピッチで進められています。掘削は今年度中に完成する見通しで、2015年の初期観測、2017-2018年の本格観測が予定されています。

「ここまで到達できたのも、工事を担当していただいている鹿島建設にトラブル対応の実績とデータがあり、とにかく工事が止まらないことによるものです」と、宇宙線研究所重力波グループの大橋正健准教授。大量のわき水などにも迅速に対処し、事故もなく、9月には発破工法の日本最速新記録である月進300メートルも達成しました。今回の貫通を終えて、「まだまだ続きますが、ようやく1つの区切りをつけることができてよかったです」と安堵の感想を述べました。

東京大学施設企画課 事業企画・地域連携チームリーダーの齋藤修一氏も「感激いたしました。3月の無事完成に向けて安全第一で頑張っていただきたいと思います」と激励。貫通後は、真空パイプやクライオスタット等の重力波検出装置が運び込まれ、装置の整備が開始します。

詳しくは次号のICRRニュースにてご報告いたします。

Yアーム貫通後の渡り始め

>Link:

KAGRAホームページ