宇宙線研究所×カブリ数物連携宇宙研究機構 合同一般講演会「宙に訊ね理を導く」を実施しました!

宇宙線研究所×カブリ数物連携宇宙研究機構 合同一般講演会「宙に訊ね理を導く」を実施しました!

 東京大学宇宙線研究所(ICRR)とカブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の合同一般講演会「宙に訊ね理を導く」が4月15日(土)、千葉県柏市のアミュゼ柏で開かれました。春と秋の年に2回開催しており、今回で16回目を迎えました。関東を中心に327人が参加しました。

 講演会には宇宙線研究所教授の佐川宏行先生と、カブリ数物連携宇宙研究機構の戸田幸伸先生が登壇。それぞれ「最高エネルギー宇宙線・ユタ州から極高宇宙現象を探る」、「カラビヤウ多様体・物理学がもたらす数学の『予想』」のタイトルで話しました。

Talk 1

宇宙線研究所×カブリ数物連携宇宙研究機構 合同一般講演会「宙に訊ね理を導く」を実施しました!

 まずは佐川先生が、アメリカ・ユタ州の砂漠に設置した検出器で最高エネルギー宇宙線を観測するテレスコープ・アレイ実験について紹介。最高エネルギー宇宙線はどこからやってくるのだろう? どうやって観測するのだろう? などを説明し、特定の方向から多く来ている「ホットスポット」を発見した実験結果を公開しました。観測範囲を4倍に拡張する「TA×4実験」の将来計画についても話しました。

Talk 2

宇宙線研究所×カブリ数物連携宇宙研究機構 合同一般講演会「宙に訊ね理を導く」を実施しました!

 次に戸田先生が、カラビヤウ多様体が予想されてから証明されるまでの代数幾何学の流れを紹介。物理学において究極の統一理論として期待されている超弦理論における微小な6次元空間との関連性について説明し、数学と物理学の理論のつながりにも触れました。

Dialog

宇宙線研究所×カブリ数物連携宇宙研究機構 合同一般講演会「宙に訊ね理を導く」を実施しました!

 最後は2人の講師が問いを投げかけ合うトークセッションが開かれ、会場のお客様からの質問も交えて講演内容を掘り下げました。「太陽系外の他の惑星で宇宙線が観測できたらどんなメリットが考えられるのか」。「数学的な問題設定とアプローチの方法は」。物理学者と数学者の異分野の視点で質問が飛び交いました。また参加者から質問ボードに貼られた質問からは「悪いふるまいをする球面とはどんなもの?」などが取り上げられました。

 講演後は多くの参加者が会場外のロビーにて登壇者を囲み、実験装置の一部の実物を一緒に触れたり、数式や図を紙に描きながらの解説を受けたりしながら、たくさんの質問をぶつけていました。