回転中性子星、パルサーは高エネルギー電子・陽電子などの宇宙線粒子の重要な加速源候補であるばかりでなく、KAGRAで注目されているように、その連星系は重力波源候補天体でもあります。そのように、宇宙線物理学上、極めて重要なパルサーですが、パルサーの電波観測について、日本ではそれに携わる研究者人口が比較的少なく、生の電波データに触れる機会は限られたものでした。そこで、東京大学宇宙線研究所高エネルギー天体グループ主催、熊本大学理学部高橋研究室共催により、パルサー電波データ解析の基本を学ぶための小規模な講習会を企画しています(宇宙線研究所共同利用研究・研究会形式理論共同研究の一環)。
日程は2015/6/2(火)午後2時〜6/4昼までで、予定している内容は以下です。
2015/6/2(火) 電波データ処理入門編
DM(disperion measure)の概念、dedispersion手法の説明とPythonを用いた実習
(実習の種に鹿島、臼田、飯館で取得されたCrabパルサーの巨大電波パルス(GRP)を使います)。
GRPデータからのパルサー周期の決定など。
2015/6/3(水) 電波データ処理実践編I
前日Pythonを用いて経験したlogicをC言語で実用ソフト化すること、および、その実習。
2015/6/4(木) 電波データ処理実践編II
Tempo2のインストールと使い方
会場準備の都合上、参加を希望される方は、5/18までに世話人までご連絡ください。初日は入門編だけですので、スキップして2、3日目だけ(2日とも、あるいはどちらか1日)の参加でも結構です。なお、用意できる会場があまり広くないので、人数オーバーの場合には受け入れできなくなることもありますので予めご了承ください。また、旅費については共同利用予算から若干の支援がありますので、希望者はご相談ください(恐れ入りますが、配分については世話人に一任ください。)
講義担当: 寺澤敏夫(6/2)、三上諒(6/3-4)
アシスタント: 廣島渚
世話人: 三上諒 (mikami◎icrr.u-tokyo.ac.jp ◎を@に変換してください) 寺澤敏夫
************ 参加予定者へのお願い *************
内容は概要説明+実習で構成しますが、実習用パソコンは自前のものをご持参下さい。そのパソコンには、あらかじめ
C++処理系 (+FFTパッケージ)
に加え、
python処理系 (ver3.4以降)(numpy, scipy, matlibplot, ipythonも含む)
を入れていただくようお願いします。(Windowsの場合、C++はcygwin上のgccでOKです。)C++が入っていれば、もちろんそれだけで何でもできるのですが、概念の理解にはpythonを使って試してみるのが手っ取り早いので初日はそれを使います。pythonはWindows, Mac, Linuxのどれにでも対応バージョンがあります。
(2日目以降の実習にはpythonは必須ではありません。)
3日目には、時刻変換ソフトのTempo2についても説明を行いますが、その場合にはOSをlinuxにすることが必須になりますので(*)、持参されるのがwindowsパソコンの場合にはTempo2実習はこちらのシステム上でやってみることになるでしょう。
(*)原理的にはMacOSにもインストール可能な筈ですが、成功例を知りません。
WindowsにVMwareを入れLinuxを立ち上げてもよい筈です。
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