藤井俊博特別研究員が第12回日本物理学会若手奨励賞を受賞しました

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(右から2人目が藤井俊博・特別研究員)

内容

東京大学宇宙線研究所の藤井俊博・特別研究員が、大気蛍光望遠鏡を用いた極高エネルギー宇宙線スペクトルの研究に大きく貢献した功績により、第12回日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。日本物理学会若手奨励賞は、将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し学会をより活性化するために設けられた賞です。

受賞理由(*日本物理学会の発表)

 藤井俊博氏は、TAとAuger双方のグループで研究を続けてきた研究者であり、大気蛍光望遠鏡を用いた極高エネルギー宇宙線スペクトルの研究に貢献してきました。

 大気蛍光望遠鏡は、極高エネルギー宇宙線が大気中で作る空気シャワーからの紫外発光を鏡で集光し、焦点面に設置した数百の光電子増倍管でシャワー発達の様子を撮像する望遠鏡です。藤井氏は大気蛍光望遠鏡の建設作業からTAに参加し、鏡の反射率測定など各種較正データの取得作業や定常観測のための望遠鏡運用に携わって来ました。データ解析においては極高宇宙線が生成する2次粒子束の増減を測定データから見積もる新たな解析手法を考案し、1地点の測定データから空気シャワー発達の情報を再構成する独自の解析ソフトウェアを完成させました。これを用いて7年間の定常観測で得られた大気蛍光望遠鏡の測定データを解析し、3桁を越える幅広いエネルギー領域にわたってスペクトルを測定しました。これにより日本グループの極高宇宙線データ解析のレベルは一気に高まり、この分野でのパイオニアである米国グループと肩を並べて研究を進めることができるようになりました。この研究成果はTAグループの共同研究者全員による共著論文として出版されました。藤井氏はこの論文の責任著者となっています。

 また、Augerでは超相対論的な磁気モノポール探査で研究成果を出しています。さらに最近では、極高宇宙線の検出感度を一桁以上高める次世代実験のために、TAとAugerの若手研究者を組織して新たな観測手法の開発研究を進めています。これは、極高エネルギー宇宙線に対する感度を一桁以上向上させることを目指しています。

 以上のように大気蛍光望遠鏡を用いた宇宙線研究における藤井氏の貢献は大きく、若手奨励賞受賞にふさわしいと判断しました。

(テレスコープアレイの大気蛍光望遠鏡)
(テレスコープアレイ実験の共同研究者の皆さま)

Link

[ 日本物理学会・若手奨励賞のページ ]

[ FASTプロジェクトのページ ]

[ テレスコープアレイ実験のページ ]