ハイパーカミオカンデ: 光センサー取り付け用の試験フレームを設置

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 次世代の大型水チェレンコフ検出器となるハイパーカミオカンデの実物大フレームを用いた試験の準備が1月9日、東京大学柏キャンパスの宇宙線研究所で始まりました。

宇宙線研究所1階の共同利用実験室に設置された実物大フレーム

 ハイパーカミオカンデは、現行のスーパーカミオカンデの約8倍の有効質量を持つ巨大水タンクとそのタンクの中に並べる超高感度光センサー(光電子増倍管: PMT)からなる実験装置で、陽子崩壊の発見やニュートリノのCP対称性の破れ(ニュートリノ・反ニュートリノの性質の違い)の発見、超新星爆発ニュートリノの観測などを通し、素粒子の統一理論や宇宙の進化史の解明を目指しています。

 この日、宇宙線研究所1階の共同利用実験室では、ハイパーカミオカンデに用いられる20インチの光電子増倍管を最大12個、取り付け可能なフレーム(ステンレス製: 縦280センチ、横210センチ、奥行き60センチ)が組み立てられ、天井クレーンを使って鋼材製の架台に設置する作業が行われました。

実験室の入り口で組み立てられるステンレス製のフレーム

 ハイパーカミオカンデは17カ国に及ぶ国際共同研究で、PMTや防爆ケースなど一部の実験機材を日本以外の国から調達する計画があり、フレームを用いた試験は、様々な実験機材をどのように取り付けるのか、また安定的に設置可能かどうか、などを事前に確認するために行われます。

 柏キャンパスに本拠を置く宇宙ニュートリノ観測情報融合センター長の奥村公宏准教授は「このフレームを使って建設を想定した様々な試験を行うことができます。海外のコラボレータにも参加してもらい、柏キャンパスで試験を進めて行きます」と話しました。

試作されたPMTを保護するための防爆ケース