【トピックス】秋の合同一般講演会で関谷准教授が講演 約420人が出席

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 宇宙線研究所(ICRR)がカブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)と合同で開催する秋の一般講演会「宇宙探索最前線〜ニュートリノ実験×ダークマター探索理論」が12月8日、東京大学本郷キャンパスの安田講堂で開かれ、出席した約420人が登壇した2人の講演や対談などを楽しみました。

安田講堂で420人の参加者を前に講演する関谷准教授

 宇宙線研から登壇したのは、宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設でスーパーカミオカンデなど地下実験に関わる研究を行っている関谷洋之准教授です。

 関谷准教授は「Super-Kamiokandeアップグレード: 地下1000mで宇宙を探る」と題した講演の中で、スーパーカミオカンデついて「もしも今、銀河系内で超新星爆発が起きれば、星が光輝く前に出されるニュートリノを観測し、世界中の望遠鏡にアラートを出して観測を呼びかけることができる世界で唯一無二の検出器です」と紹介。さらに、過去に起きた超新星爆発によって出され、宇宙に蓄積されていると理論で予測される“超新星背景ニュートリノ”について、「これを検出できれば、①超新星爆発の頻度、②星が生まれる割合、③生まれる星の大きさの分布—などが分かり、元素の周期表に出てくるたくさんの物質がどのようにできたのかを検証するのに役立ちます」と語り、現在計画中のスーパーカミオカンデ−ガドリニウム(Gd)プロジェクトについて言及しました。

超新星背景ニュートリノの反電子ニュートリノが、スーパーカミオカンデのタンク内で起こすと予想される反応。陽電子とガンマ線のチェレンコフ光がそれぞれ観測される

 超新星背景ニュートリノは現在も手のひらを1秒間に数千個通り抜けていると予測されていますが、同じエネルギー域の太陽ニュートリノなどに邪魔されて観測しづらいため、陽子と反応して中性子を出す反電子ニュートリノに注目したことに触れ、「Gdは中性子の吸収しやすさが水の100万倍もあり、しかも中性子を吸うとガンマ線を出し、4倍近く明るいチェレンコフ光を出すので、反電子ニュートリノからは陽電子とガンマ線がそれぞれ出すチェレンコフ光を捉えることができ、超新星背景ニュートリノを検出することができるのです」と語りました。

付箋に書き込まれた質問がホワイトボード一杯に貼り付けられる

 関谷准教授はこの後、IPMU側の講演者であるThomas Melia特任助教と対談。さらに、会場から付箋に書かれて寄せられた「Gdを均一に混ぜる仕組みは?」「超新星背景ニュートリノの年間検出数の予測は?」「神岡の大学院生はどんな風に過ごしているのか?」「ニュートリノが通り抜けられないものは?」などの質問に、一つひとつ丁寧に回答していました。

会場からの質問に一つひとつ丁寧に答える関谷准教授(左)とMelia特任助教(右)

 春の合同一般講演会は2020年4月11日(土)、柏市のアミュゼ柏での開催が予定されています。詳細は2月ごろにホームページに掲載されますので、しばらくお待ちください。