飛騨市神岡町の「ひだ宇宙科学館カミオカラボ」でオープニングセレモニーを開催―関係者100人が参加し、内覧会も
飛騨市神岡町の道の駅「宙ドーム・神岡」に、宇宙線研究所のスーパーカミオカンデやKAGRAなどのプロジェクトを紹介する「ひだ宇宙科学館カミオカラボ」が完成し、3月27日、梶田隆章所長らが参加してオープニングセレモニーが開かれました。
オープニングセレモニーには、飛騨市、岐阜県などの地元関係者のほか、企業版ふるさと納税に賛同して寄付を行った三井金属鉱業などの企業、宇宙線研の関係者など100人以上が出席しました。
都竹・飛騨市長「市民、研究者、企業の気持ちが一つに」
都竹淳也・飛騨市長は主催者を代表して挨拶に立ち、「世界に誇れる宇宙物理研究の施設を見学したいという市民の気持ち、研究を知ってもらいたいという研究者の気持ち、それを応援したいという企業の気持ちが一つになって生まれた施設です。ぜひ多くの皆さんに体感してもらい、神岡が世界に誇れる存在であることを知ってもらうのと同時に、それが飛騨市民の誇りになり、この街をもっと良くしていこうという気持ちにつながれば、私にとってこれほど嬉しいことはありません。さらにより良い施設にしていきたいと思います」などと語りました。
梶田所長「研究者と飛騨市の皆様、飛騨市を訪れる皆様との架け橋に」
梶田所長は「宇宙線研究所の研究施設がある、この飛騨市に、このような素晴らしい施設が完成したことに感動しております。カミオカラボは、スーパーカミオカンデやKAGRAでの研究をはじめとした、世界最先端の宇宙物理学研究をわかりやすく紹介することを目的とし、多くの研究者が検討段階から一緒に取り組ませて頂いた施設です。カミオカラボが、われわれ研究者と飛騨市在住の皆様をはじめ、飛騨市を訪れる皆様との架け橋となることを望んでおります」などと祝辞を述べました。
式典に引き続き、12人がテープカットを行い、内覧会がスタート。関係者は宇宙線研出身のサイエンスコミュニケーター・高知尾理さんらの案内で、最新の体験型展示を楽しみました。
カミオカラボは、鉄骨平屋約360平方メートルの敷地をドーム型の屋根が覆う構造で、中央に幅約9メートル、高さ約7メートルの巨大スクリーンを設置。スーパーカミオカンデ内部の映像と、超新星爆発で発生したニュートリノの行方を追い、地球までを一緒に旅するCG映像の2種類が上映されていました。
宇宙研究への扉を開く体験型の展示が盛りだくさん
光電子増倍管36個を壁一面に並べ、その上下左右に大きな鏡を設置することで、タンクの内部の臨場感を再現するコーナーや、運転中のスーパーカミオカンデ内部で起きている反応の様子がリアルタイムで確認できるモニターや、大型低温重力波望遠鏡KAGRAの仕組みを紹介する模型もあり、参加者は興味深く観察していました。
作家・池澤夏樹さん「神岡はわが文学の原点です」
また、作家・池澤夏樹さんが招待され、チェレンコフ光が登場する作品「スティル・ライフ」の一節を紹介した特設パネルに、直筆でサインしました。池澤さんは「1987年2月23日ですね、カミオカンデが初めて超新星からのニュートリノを観測したというニュースが新聞に載って、すごいことだなあと感動したんです。その1カ月くらい後に、短いけれども力のこもった作品を書こうと思い、コップの中のチェレンコフ光を眺めるという場面を使うことにしました。自然に向き合う人間の形を描いたところ、うまく芥川賞に選ばれ、作家として書いたものを活字にしてもらえるという励みになりました。それから32年いろいろ書いて来ましたが、神岡はわが文学の原点です」と振り返りました。
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