2026年6月12日、岐阜県飛騨市の神岡中学校にて「山と宇宙と希望の学校」を開催しました。今回で3回目の開催となり当日は中学生をはじめ一般の方々にも参加いただき、約130名が集まりました。

テーマは「失敗は宇宙へのパスポート?」。東京大学理事・副学長の玄田有史社会科学研究所教授を司会に、宇宙線研究所長の荻尾彰一教授、大橋正健特任研究員、途中から重力波観測研究施設の三代木伸二施設長、宮川治准教授が登壇し、中学生から事前に寄せられた質問に答える形で対話を行いました。
まず「失敗したことはあるか?」の問いについて登壇者は「たくさん準備をして、たくさん失敗している。予定通りにいくことはほとんどない」と答えました。また、玄田理事より「東京大学には約4,000人の先生がいるが、みんなたくさんの失敗をしている。それでも諦めずに取り組んでいる」と、挑戦することの大切さを伝えました。
そして生徒からは、「勉強が苦手です」「やる気が出ないときはどうしたらいいですか」といった率直な悩みも寄せられました。大橋特任研究員からは「寝る!」との回答があったり、少しでもやってみる、次につながるように中途半端なところであえて終える、無理にやる気を出そうとしない、などの回答がありました。また玄田理事は「勉強や研究で一番大事なものは『くやしい』という気持ち」と語りました。「なぜレギュラーになれないのか」「なぜ演奏がうまくならないのか」と感じる悔しさは、自分を成長させる原動力になると説明し、「このままでいたくない、諦めたくないという気持ちがあれば、必ず前に進める」と話しました。
将来への不安についての質問には、荻尾所長からは「希望は探すものではなく、すでにそこにあるもの」という言葉がありました。また、悔しさを「青い炎」のように静かに燃え続けるものと玄田理事は表現しました。
さらに、ノーベル物理学賞を受賞した故小柴昌俊先生の言葉として、「準備することの大切さ」が紹介されました。夢がかなうチャンスが訪れたときに備え、日頃から準備を重ねることの重要性を語りました。
「失敗したことは?」の問いに三代木施設長は基本的に楽観主義で失敗と思ったことがなく、駄目だった理由を調べて次に活かすと答え、研究の中ではKAGRAという大きな装置を動かしているので最初の設計思想が大事。設計思想はその目的を達成するために一番大事な思想であると話しました。
後半は宇宙線研究所によるQ&Aコーナーでした。「宇宙人はいますか?」「宇宙は無限ですか?」「ブラックホールの中心はどうなっていますか?」など、宇宙に関するさまざまな質問が寄せられました。「宇宙人はいますか?」という質問には、荻尾所長や宮川准教授が「います。皆さんも宇宙人です。私たちが宇宙にいるのですから」とユーモアを交えて回答。研究所での仕事についても紹介があり、KAGRAの運転や開発、電子回路やレーザーの研究など、それぞれの専門分野について語り、「自分が作ったものが動いたとき」「性能が向上したとき」「新しい発見につながったとき」が最も楽しい瞬間だと話しました。
生徒からの「宇宙の魅力とは?」という質問に対し、「わからないことだらけなこと」「きりがないこと」など、それぞれの視点から宇宙への思いが語られました。
