テレスコープアレイ実験グループの髙橋薫さん(D3)が、9月9日から11日まで、東京大学本郷キャンパスで開催されていた”Workshop for the Global Cosmic Ray Observatory (GCOS)”で、ポスター賞を受賞しました。

GCOSは、マルチメッセンジャー天文学には欠かせない最高エネルギー宇宙線の観測や理論をテーマとする研究者や学生が集まり、最近の話題について議論する中で交流を深める研究会で、今回で4回目となります。本郷キャンパスが会場となった今年は、全国から96人の研究者が参加し、ポスターセッションには15人がエントリー。髙橋さんら2人がポスター賞を受賞しました。
髙橋さんは、「テレスコープアレイ地表粒子検出器によるニュートリノ観測」(“Neutrino Search by the Telescope Array Surface Detectors”)というタイトルのポスターを発表。これは、米国ユタ州に展開するテレスコープアレイ実験の地表粒子検出器を使った観測で、宇宙線が大気に衝突して作られる空気シャワーから、ニュートリノによって作られる空気シャワーを識別する方法を考察したものです。従来のテレスコープアレイ実験では、天頂角60度までの宇宙線陽子の空気シャワーだけのために構築されていたモンテカルロシミュレーションを、ニュートリノ空気シャワーのために再構築し、最適化によって高い天頂角まで拡大。これにより、宇宙線の空気シャワーとニュートリノの空気シャワーを区別する方法を発見し、テレスコープアレイ実験に導入。それによる最新の解析結果も示しました。
髙橋さんは「受賞できてとても嬉しいです。この研究は、これまで観測されたことのない超高エネルギーニュートリノの探索手法を示すものであり、最高エネルギー宇宙線の起源天体を特定するための大きな一歩となります。北天最大級の空気シャワー観測実験であるテレスコープアレイ(TA)でその可能性を示すことができたのは、TA実験におけるニュートリノ探索を本格的に進めるうえでの礎となる重要な成果であると考えています。今後は、この手法をさらに発展させ、未解明の宇宙の姿に少しでも迫れるよう挑戦を続けていきたいと思います。次はノーベル賞目指して頑張ります」と元気にコメントしています。
関連リンク
Workshop for the Global Cosmic Ray Observatory
テレスコープアレイ実験グループ