武蔵野美術大学の宮原ひろ子教授が第43回猿橋賞を受賞

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 優れた研究業績を挙げた女性科学者に贈られる第43回(2023年)の「猿橋賞」に、武蔵野美術大学の宮原ひろ子教授が選ばれたことがわかりました。

 宮原教授は、名古屋大学大学院理学研究科・博士課程(後期課程)を修了後、学振研究員などを経て、2008年から4年半、宇宙線研究所の特任助教を務め、2013年から武蔵野美術大学造形学部の教員となり、2021年から教授を務めています。専門は太陽物理学、宇宙線物理学、宇宙気候学です。

 猿橋賞を主催する一般財団法人「女性科学者に明るい未来をの会」が、宮原教授の受賞理由に掲げた業績は、「太陽活動の変動のメカニズムおよびその気候への影響に関する研究」です。宮原教授は、長寿命の屋久杉などの年輪を1枚ずつ剥がし、そこに含まれるごく微量の炭素14の量を測定することで、太陽活動の基本周期(およそ11年)の長さがどのように変化するのかを高い精度で復元することに成功し、太陽活動の長期変動のプロセスについての手がかりを得ました。また、宇宙線変動にみられる倍周期(およそ22年周期)が中世温暖期や小氷期の気候変動に現れていたことも明らかにしました。主催団体は宮原教授について、「宇宙気候学の研究ネットワークを全国的に拡大・発展させる一方、子ども向けの本を出版するなど、一般の読者や子供たちに科学や研究の面白さを伝えている」と高く評価しています。

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 宮原教授は今回の受賞について、「このような大変重みのある賞をいただけることになり、身の引き締まる思いでおります。宇宙線研究所に在籍していたときに様々なことに挑戦させていただけたことが、現在の成果につながっています。これまで研究を進めるにあたって、サポートしてくださった先生方、応援してくださった先生方に、心から感謝申し上げます。今後は、宇宙線と気候変動との関係性をさらに突き詰めていきたいと考えております。」とコメントを寄せています。