播金助教、大内教授、小野助教ら 2022年度日本天文学会欧文研究報告論文賞を受賞

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 播金優一助教、大内正己教授、小野宜昭助教ら観測的宇宙論グループが中心となり、2018年1月に日本天文学会の欧文研究報告誌PASJに掲載された、120億年-130億年前の遠方銀河の統計的性質についての論文 ” GOLDRUSH. II. Clustering of galaxies at z ∼ 4- 6 revealed with the half-million dropouts over the 100 deg2 area corresponding to 1 Gpc3” が、2022年度の日本天文学会欧文研究報告論文賞を受賞したことがわかりました。

 この賞は、欧文研究報告PASJに過去5年に掲載された論文の中から、独創的で天文分野の発展に寄与した優れた論文(2編以内)を対象に授与されるもので、宇宙線研究所の関係者が主著者である論文の受賞は初めてとなります。

 受賞の対象となった論文は、すばる望遠鏡 Hyper Suprime-Cam (HSC) 探査の初期観測データから、当時世界最大の約50万個の銀河のサンプルを120-130億年前の宇宙において構築し、角度相関関数をこれまでにない統計精度で測定したものです。播金助教らはこの中で、理論的な研究で予言されていた大スケールでの非線形ハローバイアス効果を初検出し、さらに銀河の星形成率と暗黒物質ハローへの物質降着率の間の関係を観測的に初めて指摘しました。さらにこの関係が、初期から現在までの宇宙全体の星形成率の進化をほぼ全て説明できることを議論し、これまで20年来の謎であった宇宙星形成史の物理的な起源について解答を提示しました。

この論文は、遠方銀河の角度相関関数を高い統計精度で測定した研究の標準的な参照先として認識されており、2023年4月5日現在の非引用数は109 (NASA/ADS)となっています。

 播金助教は今回の受賞について、「このような賞を皆様と受賞でき嬉しく思います。本論文は宇宙線研究所に大学院生として在籍していた際に執筆した論文です。当時を振り返ると、指導教員であった大内教授、小野助教をはじめとする観測的宇宙論グループの方々と、皆で協力しながらHSCデータの解析・論文執筆を進めていた様子を懐かしく思います。共同研究者の皆様、普段から研究を支えてくださる宇宙線研究所の皆様に感謝いたします」とコメントしました。

 詳しい受賞理由については、こちらのサイトを参照ください。