修士課程2年の金島遼太さん、川島輝能さん 日本物理学会2022秋季大会の学生優秀発表賞を受賞

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 ハイパーカミオカンデグループの金島遼太さん(M2)と、チベット実験・ALPACA実験グループの川島輝能さん(M2)の二人が、2022年9月に行われた日本物理学会2022年秋季大会で、学生優秀発表賞を受賞し、表彰されました。

 金島さんは「ハイパーカミオカンデのためのフロントエンド・エレクトロニクスの開発:ディジタイザーの性能評価2」と題し、秋季大会で発表しました。金島さんは、岐阜県飛騨市神岡町にある神岡鉱山の地下600mに建設中のハイパーカミオカンデ検出器で、観測した信号を読み出すエレクトロニクスの開発に取り組んでいます。具体的には、直径50センチの光電子増倍管(PMT)の信号処理を行う電子回路(ディジタイザー)を様々な面で性能評価し、ハイパーカミオカンデの物理観測で要求される性能を満たしていることを実証しました。今回の受賞について金島さんは「最適な性能評価手法の確立のためのPMT測定から研究は始まり、時間はかかりましたが性能評価を完了することが出来ました。今回の結果は誇張なしに自分ひとりでは到底生み出すことはできませんでした。今後もハイパーカミオカンデの実現のために奮闘していきたいと思います」と語りました。

ハイパーカミオカンデグループで学生優秀発表賞を受賞した金島遼太さん

 一方、川島さんは「ALPACA実験29:光電子増倍管のダイナミックレンジの拡張」と題し、秋季大会で発表しました。川島さんは、南米ボリビアの高地(標高4,800メートル)で、高エネルギーガンマ線や宇宙線を観測するALPACA実験に参加し、地表空気シャワー観測装置に設置する光電子増倍管の改良に取り組んでいます。具体的には、観測可能なガンマ線や宇宙線の最大エネルギー(ダイナミックレンジ)を拡張するため、光電子増倍管の運用時に読み出す一般的な信号(アノード信号)に加え、信号増幅の途中で新たな信号(ダイノード信号)を読み出す機能を新たに加えようとしています。今回の受賞について川島さんは「ALPACA 実験は、南天でガンマ線天文学の開拓において大きな注目を浴びており、その中で検出器の改良が重要な役割を担っていることを改めて実感しました。今回の受賞は大変嬉しく思い、今後とも日々研鑽を積んで研究に励んでいく所存です」と語りました。

チベット実験・ALPACA実験グループで学生優秀発表賞を受賞した川島輝能さん

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