女子学生のための「やっぱり物理が好き!」を開催 日本IBMデータサイエンティスト 柏野桃子さんが講演

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 女子学生のためのイベント「やっぱり物理が好き! 〜物理に進んだ女子学生・院生のキャリア〜」が11月6日、ZOOM会議によるオンラインで開催され、全国から約50人が参加しました。

 本イベントは、物理学を専攻する女子学生や大学院生の割合が、日本では特に低いことから、これから物理を学ぼうという女子学生や、物理分野に進学した学部生・大学院生を支援する目的で、東京大学柏キャンパスのカブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)、物性研究所、宇宙線研究所が合同で企画しています。6回目となる今回は、物理学科の出身で大学や企業で活躍する講師4人を招いて開催し、宇宙線研究所からは大学院時代にチェレンコフ宇宙ガンマ線グループに所属していた日本IBMのデータサイエンティスト、柏野桃子さんが登壇したほか、テレスコープアレイグループに所属する高橋薫さん(修士1年)もTAとして、参加者からの質問に答えました。

オンライン講演する日本IBMのデータサイエンティスト、柏野桃子さん

 柏野さんは「データサイエンティストという働き方」と題し、自己紹介、日本IBM、そしてデータサイエンティストとしての仕事について講演。自己紹介では、大学院修士課程で宇宙線研究所のCTAグループに所属し、大口径望遠鏡(LST)に使う鏡の性能評価やシミュレーションなどを行なっていたこと、日本IBMに就職し、見習い期間に様々な現場を経験したのち、希望していたデータサイエンティストになったこと。さらに、会社の制度を使って休職し、物理学の研究者である夫のいるスイスで1年半の海外生活を送り、帰国して元の職場に復帰するまでを振り返りました。

 柏野さんは「社会人になっても週に一度は趣味のクラシックバレエを続けています。外資系の会社は大変という話を聞いている方もいるかも知れませんが、とても健康で文化的な生活ができています」と語りました。

 柏野さんはデータサイエンティストの役割について、「世の中に溢れる様々なデータを活用し、ビジネスの問題を解決したり、人の生活をより豊かにすることです」とし、主に日本の様々な企業を顧客とし、企業が保有する業務データなどを分析する力が求められることを明かし、「大学や大学院の研究生活で得たスキルの中では、統計学・数学の知識やデータ加工、プログラミング、プレゼン力、忍耐力などが役立っていると思います」。

 具体的には、大型スーパーの売り場で見られる「見切りシール」を、リアルタイムな売れ行きに応じたタイミングと値引率で発行するシステムを開発したことを例に挙げ、「データサイエンティストという仕事は、もちろん企業の売り上げや利益にも役立ちますが、その先にある消費者の利便性にも貢献している仕事だと考えています」と語りました。

 質疑応答では「修士課程から進学か、就職かを決める決め手・タイミングを教えてください」「データサイエンティストを募集する企業には、情報系の学位の取得が望ましいとの記載が多く見られますが、物理学部の出身者は少ないのでしょうか」「様々な業界を見てから現在の職場に行き着いたのでしょうか」などの質問が出て、柏野さんは一つ一つ丁寧に回答していました。

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