2023年度まで暗黒物質直接探索グループ(関谷研究室)に所属していた河内弘輝さん(当時、修士課程2年)が、2024年2月に行われた新学術領域「地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化」のD01班計画研究「極低放射能技術の最先端宇宙素粒子研究への応用」が主催する第9回極低放射能技術研究会で、ポスター賞を受賞していたことがわかりました。
河内さんは2月6日、「異方性発光シンチレータZnWO4による暗黒物質探索に向けた感度評価」をテーマとしたポスター発表で、検出器内の放射性不純物量の定量と方向感度のない暗黒物質探索感度を求めた結果を披露。参加者の投票で唯一のポスター賞に選ばれました。
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河内さんのコメント
私は大学院での2年間で暗黒物質探索実験に携わりました。
暗黒物質による信号とノイズとを区別するため、暗黒物質が白鳥座方向から飛来することに着目した方向感度検出器の開発を進めることが私の研究内容でした。
今回ポスター賞をいただいた発表の内容はGeant4.11 を用いた暗黒物質探索感度のシミュレーション結果です。
実際に暗黒物質探索で使用予定の検出器部材から放出されるガンマ線を高純度ゲルマニウム検出器で測定することで放射性不純物の含有量を算出し、放射性不純物由来のBGスペクトルを予測しました。そして理論式から計算した暗黒物質信号のスペクトルとBGスペクトルを比較することで暗黒物質探索の感度を見積もりました。
具体的な内容は私の修士論文に記載したのでぜひ読んでいただけると幸いです。
神岡施設での研究生活では様々な経験ができました。研究においては、測定系を改良して性能を向上させたり先述したようにシミュレーションをしたりとハードウェアもソフトウェアも扱うため幅広い知識が身につきました。
その中で指導教員である関谷先生には研究が行き詰まる度に何度も相談に乗っていただき、研究を進めることができました。
一方日常生活においては、神岡施設が拠点のスーパーカミオカンデ実験やKAGRA実験など多くの実験グループと交流が生まれ大学も国籍も問わない仲間ができました。その仲間達と休日に富山まで行きご飯を食べたり遊んだりしてリフレッシュしたのは楽しい思い出です。
神岡施設はやりたい研究を思う存分でき、それをサポートしていただける環境が揃っています。大学院進学を考えている方は、ぜひ神岡施設での研究生活を検討してみてほしいです。