プロフィール

ITOW, Yoshitaka
伊藤 好孝
教授
研究テーマ
「ニュートリノ・暗黒物質で探る素粒子と宇宙の境界領域の研究」
宇宙の成り立ちには未だ解決のつかない大きな謎が存在しています。なぜ反物質でできた反宇宙が存在していないのか、宇宙の構造を形成する暗黒物質の正体はなにか、これらの問いに答えるために、宇宙と素粒子の両分野にまたがる宇宙素粒子物理学の研究を行っています。その中で、ニュートリノは、他の素粒子に比べて異常に軽く、弱い相互作用のみを感じ、左巻きしか存在せず、3つの質量状態が完全に混じり合っているという不可思議な素粒子で、宇宙の謎に深く関わっている可能性があります。
スーパーカミオカンデの立ち上げから携わり、現在はハイパーカミオカンデの建設で中心てきな役割を担いながら、ニュートリノ振動の精密測定、特にニュートリノCP非保存の証明や、陽子崩壊・第4のニュートリノ「ステライルニュートリノ」の探索、ニュートリノによる暗黒物質の探索、またそれに向けた大気ニュートリノフラックスモデルの精密化に取り組んでいます。そのために、大気ニュートリノを生成する宇宙線空気シャワーでの超高エネルギーハドロン相互作用の測定を、Large Hadron Collider (LHC)を用いて行うLHCf実験も行っています。
宇宙の謎を握るもう一つの重要な鍵、暗黒物質の探索として、8.5トン液体キセノン検出機を用いたXENONnTで暗黒物質直接探索を行っています。その将来計画の60トン液体キセノンを用いた暗黒物質探索実験XLZDに向けて、放射性不純物の混入を遮断する密閉型液体キセノン検出器の開発を名古屋大学と共同で行っています。
宇宙と素粒子の謎は双方が深く関わっており、両分野にまたがる視野の広い研究が必要です。私たちのグループでは、ニュートリノと暗黒物質が関わる宇宙素粒子物理学を開拓しながら、その根源的な謎に迫って行きたいと考えています。
特に、ハイパーカミオカンデは、この2年間が測定装置の建設と立ち上げ時期にあたります。大学院でこの最もエキサイティングな期間に一緒に立ち会い、自らが立ち上げに関わった実験装置で基礎物理を変える大発見を目指しましょう。
宇宙ニュートリノ観測情報融合センター
XENON実験 東大グループ
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