チャカルタヤ宇宙物理観測所

研究内容

 チャカルタヤ宇宙物理観測所は、南米ボリビア国立サンアンドレス大学物理学研究所の附属施設で、ラパス市郊外30km のチャカルタヤ山(南緯16˚21'、西経68˚08'、標高5300 m) 頂上付近に位置する世界最高高度の宇宙線観測所として、昭和37 年以来、日本・ボリビア共同空気シャワー実験(BASJE実験)と、日本・ブラジル共同エマルションチェンバー実験が行われてきました。

 後者は既に終了しましたが、前者(BASJE実験)は空気シャワー観測装置を更新しながら観測を継続してまいりました。その研究目的は、1013eV以上のエネルギー領域における質量組成測定を主に行い、宇宙線起源を解明することです。その成果として、knee領域(∼1015eV)にかけて、一次宇宙線核種成分が軽核から重核へと移行していることを示しました。近年は、研究対象エネルギー領域を1016eV以上に設定し、銀河系内起源宇宙線のエネルギー上限の確定を目指して来ましたが、平成28年3月末をもって終了いたしました。

 BASJE実験の後を受けて、100TeV(1014eV)領域の宇宙ガンマ線の広視野連続観測を主目的とするALPACA(Andes Large area PArticle detector for Cosmic ray physics and Astronomy)実験計画の準備がチャカルタヤ山の麓(標高4740m)で始まりました。knee領域まで加速された銀河宇宙線が、その加速源である未知の宇宙加速器(PeVatron)周辺の物質と反応する際に生成される中性パイ中間子が崩壊して生ずるガンマ線のエネルギーは100TeV領域になります。したがって、100TeV領域ガンマ線の観測は未知の宇宙加速器の同定を行う際の鍵となる実験になります。

チャカルタヤ宇宙物理観測所