トピックス「鹿熊亮太さん(修士1年)が、2018年度「天文・天体物理若手夏の学校」でオーラルアワードを受賞」

鹿熊亮太さん(修士1年)が、2018年度「天文・天体物理若手夏の学校」でオーラルアワードを受賞

―観測的宇宙論グループ

 ICRR観測的宇宙論グループ(大内正己准教授)に所属する鹿熊亮太さん(修士1年)がこのほど、天文・天体物理若手の会が主催する夏の学校で、優れた口頭発表をした若手の大学院生に贈られる銀河・銀河団分科会のオーラルアワード(1位)を受賞しました。

 光の速さが有限であることから、遠くの宇宙を観測することで、宇宙の進化の歴史を見ることができます。しかし、現在の望遠鏡では、遠方宇宙に広がる暗い銀河やガスからなる構造を捉えることは難しく、次世代の宇宙望遠鏡か、さらに大口径の望遠鏡が必要とされてきました。

 鹿熊さんらの研究グループは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ(HSC)の観測で得られた、非常に大きな画像データと統計的な手法とを組み合わせることで、遠方宇宙に広がる暗い銀河やガスからなる構造を捉える研究にチャレンジしています。鹿熊さんは夏の学校で、およそ130億年前の非常に暗く小さな銀河や銀河ガスの広がりを、水素原子から発せられる特殊な光を統計的に捉えることで明らかにする取り組みについて紹介。今後さらに形成初期の銀河や銀河間ガスの様子を観測することで、銀河形成・進化を探るうえで非常に重要な情報が得られる可能性があるとしました。

オーラルアワードを受賞した修士1年の鹿熊さん
オーラルアワードを受賞した修士1年の鹿熊さん
暗い銀河やガスからなる構造を捉える研究のイメージ図
暗い銀河やガスからなる構造を捉える研究のイメージ図

 鹿熊さんはこの研究に、理学部4年だった昨年11月から取り組み、今年3月には本郷キャンパスで開かれた国際学会 ”Tokyo Spring Cosmic Lyman-Alpha Workshop” で早くも成果を発表しています。鹿熊さんは、「私が今こうして生きている宇宙はどのように進化してきたのだろうか知りたい、という一心で研究しています。今回いただいた賞を糧に今後も精進していきたいです。」と話しました。

 なお、同じ研究グループの菊池原正太郎さん(修士2年)が「重力レンズ効果とALMA干渉計で探る初期銀河の星形成活動」でオーラルアワード(2位)、菅原悠馬さん(博士2年)が「10万個のSDSSスペクトルで探るアウトフロー・銀河関係」でオーラルアワード(3位)を受賞しています。