東京大学柏キャンパス一般公開2022

【2022年10月22日(土)】うちゅうカフェ「わたしの研究について!」

オープンキャンパス

【2022年10月22日(土)】うちゅうカフェ「わたしの研究について!」

 うちゅうカフェには毎回、宇宙・素粒子の研究に取り組む若手研究者が登場します。皆様の寄付で支えられている若手支援基金をもとに募集・採用され、研究を進めるICRRフェロー(研究員)が中心です。
 今回は、東京大学柏キャンパスを拠点に研究を進める理論グループの浅井健人さんと、岐阜県飛騨市の神岡宇宙素粒子研究施設を拠点に研究を進める野口陽平さんの二人に登場してもらい、研究者を志した学生時代から現在の研究に至るまでと、普段の生活や趣味などについて自由に語ってもらいます。

YouTubeのご視聴について

YouTubeの生中継及びアーカイブ配信は10/31(月)までで終了しました。ご視聴いただき、ありがとうございました。

【2022年10月22日(土)】うちゅうカフェ「わたしの研究について!」

特任研究員(ICRRフェロー) 浅井 健人さん

 スピーカーの1人目は、浅井健人(ICRRフェロー)さんです。千葉県千葉市出身の浅井さんは、2016年に早稲田大学先進理工学部物理学科を卒業し、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻に入学し、素粒子論研究室 (濱口研究室)で研究をスタートさせました。2021年に博士号を取得してからは、埼玉大学、横浜国立大学でポスドク研究員を経て、今年4月にICRRフェローに就任しました。
 浅井さんは宇宙線研究所の理論グループに所属し、暗黒物質(ダークマター)の探索やCP対称性の破れの謎などを主な研究のテーマとしています。浅井さんは「宇宙に私たちを構成する物質よりもたくさん存在すると考えられている暗黒物質の性質、この宇宙には物質はあるのに対となる反物質は消えてしまって見つからない謎などを、レプトンと呼ばれる種類の粒子、特にニュートリノに注目して解明すべく研究に取り組んでいます。また、最近は高エネルギーな電子や陽子のビームを水や金属等にぶつけて生じた長寿命粒子を、離れたところに置いた検出器で探る固定標的実験を用いて、MeV程度の質量(電子の2~1000倍くらい)を持ち、なかなか崩壊しない長寿命な新粒子の発見の可能性も調べています」と自身の研究について説明しています。
 趣味は、すでに33カ国も訪れたことがあるという旅行、御朱印集め、クラシック音楽鑑賞、アニメ鑑賞ということです。

【2022年10月22日(土)】うちゅうカフェ「わたしの研究について!」

特任研究員(ICRRフェロー) 野口 陽平さん

 スピーカーの2人目は、野口陽平(ICRRフェロー)さんです。大阪府出身の野口さんは、2021年までの京都大学在学中に、CERN (欧州原子核研究機構) の LHC (大型ハドロン衝突型加速器) を使用した ATLAS 実験に参加して研究を行ってきました。博士課程の3年間、スイスとフランスの国境にある CERN で研究を行い、2012年にLHCの実験で初確認されたヒッグス粒子が、ボトムクォークに質量を与えていることを実験で検証し、ヒッグス粒子の性質を詳しく測定しました。
 2021年に博士号を取得した後、京都大学での研究員を経て、今年4月にICRRフェローに就任しました。現在は岐阜県飛騨市の神岡宇宙素粒子研究施設を拠点に、スーパーカミオカンデ実験で陽子崩壊の探索やハイパーカミオカンデ計画に向けた電子回路の開発に取り組んでいます。
 野口さんは「 CERN でのヒッグス粒子の研究を通じて、素粒子の標準模型が非常に美しく、 LHC が生成する衝突データをほとんど完璧に説明できることに驚きました。しかし、まだまだ人類が理解できていないことが多くあることは確かで、物質や時空に対する理解を一歩でも進めるために標準模型を超える現象を発見することが重要です。スーパーカミオカンデやハイパーカミオカンデにおいて陽子の崩壊を発見できれば、確実に素粒子に対する理解を進めることができるため、実験データの解析やハイパーカミオカンデの実現に力を入れています」と語ります。
 余暇があればプログラミング、理論物理など、普段の研究に役立つことを学んでいるといいます。