内容
東京大学宇宙線研究所の観測的宇宙論グループの菅原悠馬さん(修士2年)が、第46回天文・天体物理若手夏の学校 銀河・銀河団分科会オーラルアワードを受賞しました。夏の学校は天文学・天体物理学を研究する若手研究者のために毎年夏に開催される合宿型の研究会で、専門分野ごとに分科会に分かれて発表を行います。各分科会の口頭発表の中から、参加者の投票により優秀な発表を選び、最も得票数の多かった発表にオーラルアワードが贈られました。
受賞した研究内容のポイント
* 銀河の形成進化の鍵となるアウトフローの研究に貢献した
* 過去の銀河のアウトフロー速度が現在よりも速い可能性を示した
受賞した研究内容の詳細

星形成が活発な銀河では、超新星爆発などによりガスが加速されて銀河の外へ吹き出します。これを銀河風、もしくは銀河のアウトフローと呼びます。ガスは星を作る材料なので、アウトフローにより銀河に含まれるガスが減ることで、星の形成が抑制されます。そのためアウトフローについて詳しく知ることは、銀河の形成と進化を読み解く鍵となります。
本研究では銀河のアウトフローの速度が時代を経るにつれてどう変化するのかを調べました。まず赤方偏移z=0とz=1の銀河のスペクトルをそれぞれ足し合わせて信号雑音比の小さいスペクトルを得ました。次にスペクトル中の金属吸収線をモデリングすることでアウトフローの速度を求めました。その結果、赤方偏移z=1の時代ではz=0の時代に比べて、アウトフロー速度が速くなっている可能性が得られました。