はじめに / ニュートリノとは? / ニュートリノ振動の発見 / スーパーカミオカンデ
/ ニュートリノ全容の解明へ / 将来計画
ニュートリノ研究は、さらなる飛躍を目指し次のステージへ前進しています。 ここでは、代表的な2つの将来計画をご紹介します。
ハイパーカミオカンデ実験は、地下に設置される100万トン級の巨大水タンクと、そのタンクの中に並べる超高感度光センサーからなる検出器を用い、素粒子の統一理論や宇宙の進化史の解明を目指します。国際研究プロジェクトとして、世界各国の研究者が協力、2025年の実験開始を目指し準備が進められています。
1998年のスーパーカミオカンデ実験によるニュートリノの変身(ニュートリノ振動)発見を突破口に、ニュートリノの性質が次々と明らかにされました。ニュートリノの性質の全容を明らかにするため、神岡では2つの新しい計画が検討されています。
ハイパーカミオカンデ(上)は、スーパーカミオカンデを大きさ、性能共にグレードアップし、陽子崩壊の発見や、ニュートリノと反ニュートリノの違いの測定などを目指しています。SK-Gd計画(下)は、スーパーカミオカンデにガドリニウムを溶かし、検出器の高性能化を実現し、宇宙の謎に新しい方法で挑みます。
リンク:ハイパーカミオカンデ
SK-Gd は、スーパーカミオカンデ (SK) の純水に0.1%のガドリニウムを溶解し、SKの性能の飛躍的に改善させる計画です。
図:低エネルギーの反電子ニュートリノは「2つのチェレンコフ光」という特徴的な信号を出します。
宇宙には、過去の超新星爆発から放出されたニュートリノ(反ニュートリノも含む)が飛び回っています。その中で反電子ニュートリの特徴的な信号(図)を探します。
超新星爆発とは:太陽の8倍以上の重さを持つ星の一生の最後に起きる大爆発です。超新星爆発で放出される大量のエネルギーのうち、99%はニュートリノによって放出されます。
図:1987年2月23日、大マゼラン星雲で発生した超新星SN1987A。右は爆発前。(アングロ・オーストラリア天文台/Daved Malin撮影)スーパーカミオカンデの前身であるカミオカンデは、この爆発に伴うニュートリノを世界で初めて観測しました。
反応で発生する中性子の数を調べることでエネルギーの高いニュートリノと反ニュートリノとの区別をしやすくなります。また、陽子崩壊事象と大気ニュートリノによる事象の区別もより正確になると期待されています。
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