東京大学宇宙線研究所長 梶田隆章教授 2015年ノーベル物理学賞受賞

受賞理由

はじめに / ニュートリノとは? / ニュートリノ振動の発見 / スーパーカミオカンデ 
/ ニュートリノ全容の解明へ / 将来計画

スーパーカミオカンデ

世界最大の地下ニュートリノ観測装置

スーパーカミオカンデは、世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置です。1991年に建設が始まり、5年間にわたる建設期間を経たのち、1996年4月より観測を開始しました。東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設を中心に、日本、アメリカ、韓国、中国、ポーランド、スペイン、カナダの約30の大学や研究機関との共同研究で行われています。

ニュートリノのつかまえ方

5万トンの超純水を蓄えた、直径39.3m,高さ41.4mの円筒形のタンクの内壁に、直径50cmの光電子増倍管(光センサー)が11,129本取り付けられています。岐阜県飛騨市神岡鉱山内の地下1,000mに位置しています。

検出器に入ってきたニュートリノとタンク内の水が衝突した時にはじき出される荷電粒子が放つリング状のチェレンコフ光を、壁に取り付けられた光センサーでとらえます。

スーパーカミオカンデの目的

その1:ニュートリノの性質を解明する

スーパーカミオカンデ実験の目的の一つは、太陽ニュートリノ、大気ニュートリノ、人工ニュートリノなどの観測を通じて、ニュートリノの性質の全容を解明することです。1998年には、大気ニュートリノの観測により、ニュートリノが飛行する間にその種類が変化する現象(ニュートリノ振動)を発見し、さらに2011年には、人工ニュートリノによって、第3の振動モードによる電子ニュートリノ出現事象を発見しました。。2011年には人工ニュートリノによって第3の振動モードも発見しました。ニュートリノの性質を解明することは、宇宙の初期に物質がどのように作られたかという謎に迫ることにつながります。

その2:ニュートリノで宇宙を見る

スーパーカミオカンデはニュートリノを使って星の内部や宇宙全体を「見る」こともできます。太陽で作られるニュートリノを観測することより、太陽内部の活動を直接知ることが可能になります。あるいは、超新星爆発からのニュートリノをとらえることにより、星の爆発過程の詳細を調べることができます。また、宇宙の始まりから起きてきた数多くの超新星爆発由来のニュートリノを捉えることによって、宇宙の歴史を探ることができます。

その3:陽子崩壊を探索し、大統一理論の実証へ

物質に働く3つの力をまとめて説明する大統一理論では、陽子が崩壊して別のもっと軽い粒子になることを予言しています。スーパーカミオカンデでは、この未発見の陽子崩壊現象を探索しています。陽子崩壊が発見されれば、大統一理論が実証されます。

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