研究所紹介
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スーパーカミオカンデ (宇宙ニュートリノ研究部門) [研究所HP]
研究目的と装置

図1:スーパーカミオカンデ内部
スーパーカミオカンデは、岐阜県神岡町の神岡鉱山の地下 1,000mにあり、平成8年4月1日からデ−タを取っています。

研究の目的は、1)太陽や大気中で生まれるニュートリノを調べるニュートリノ物理学、2)陽子崩壊を見張る大統一理論の検証、3)超新星爆発などから飛来するニュートリノを調べるニュートリノ宇宙物理学です。

実験装置は純水50,000トンを満たした円筒形のタンクです(図1参照)。荷電粒子が水中を走るときにチェレンコフ光という青白いかすかな光を発する原理を利用し、タンクの内面に取り付けた11,200本の光電子増倍管(直径50cm)でこの光をとらえます。 2001年11月12日にその内の6777本が破損する事故が起こりました。二度とこのような事故が起こらないように、残った約5200本の一本ずつに衝撃波防止ケースを付け、配置し直す作業を現在行っています。光電子増倍管の取り付け密度は半分になりますが、2002年10月頃より実験再開予定です。
 
研究目的と装置

図2:大気ニュートリノの天頂角分布
【大気ニュートリノによるニュートリノ質量の発見】
宙の彼方から飛んでくる宇宙線は、地球大気中の窒素や酸素の原子核と反応してニュートリノを作ります。ニュートリノには、電子ニュートリノ・ミューニュートリノ・タウニュートリノの3種類があることが分かっています。スーパーカミオカンデでミューニュートリノの数を調べてみると、上から来るニュートリノはほぼ予想通りなのに、下から来るニュートリノは予想値の半分しかありませんでした(図2参照)。

ニュートリノには他の種類のニュートリノに変わったり戻ったりする性質(ニュートリノ振動(図3参照))があると言われていて、下から来るニュートリノは地球を横切って長い距離を飛んでくる間に計測されにくい他のニュートリノ(タウニュートリノ等)に変わってしまったと考えると、この実験結果をうまく説明できます。

図3:ニュートリノ質量の発見

そしてニュートリノ振動は、ニュートリノに質量がなければ起こりえないことなのです。また実験結果から見るとニュートリノの質量は大変小さく、なぜこのように小さいのかということも研究しなければならない重要な課題です。
 
 

図4:ニュートリノで見た太陽の軌跡
【太陽ニュートリノ問題】
太陽中心の核融合反応からもニュートリノが生まれます。スーパーカミオカンデではニュートリノと電子との散乱を使ってこの太陽ニュートリノを調べています(図4参照)。測定されたニュートリノは、理論が予想する値の47%しかありませんでした。この結果とカナダのSNOグループの結果とをつき合わせ、捕えられるニュートリノはニュートリノ振動が原因で少なくなっていることが明確になりました。また、昼と夜とのニュートリノ数の変化を調べることにより、ニュートリノ振動における質量の値と混合比について、精度良く測定することができました。 ニュートリノ振動が原因ではないかと考えられますが、まだその確実な証拠は掴めていません。スーパーカミオカンデでは、太陽ニュートリノのエネルギースペクトルや、昼と夜とのニュ−トリノの数の変化を調べ、ニュートリノ振動の証拠を捕まえようとしています。
 
【陽子崩壊の探索】
物質に働く力を説明する大統一理論は、未来永劫に安定であると信じられていた陽子が崩壊することがあると予言しています。陽子崩壊を見つければ、大統一理論が正しいという一番の証拠になります。スーパーカミオカンデは、現在陽子崩壊を見張っている世界最大の装置です。

【超新星爆発ニュートリノ】
前世代機のカミオカンデは、1987年に大マゼラン星雲で起こった超新星爆発1987aからのニュートリノを11個、世界で初めて捕らえました。もっと近い我々の銀河中心で超新星爆発が起これば、カミオカンデの15倍の容積を持つスーパーカミオカンデは4,000個のニュートリノを捕まえることができ、超新星爆発のメカニズムが解明されると期待できます。

【長基線ニュートリノ振動実験】
茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構から人工ニュートリノを飛ばし、250km離れたスーパーカミオカンデで捕らえるという実験(K2K実験)が、1999年4月より行われています。ニュートリノ振動の確認が期待されます。