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TAの拡張実験

TAの有効検出面積の拡張(TAx4)

TAはとらえた最高エネルギー宇宙線の到来方向のhotspotの兆候をとらえた。TAの有効検出面積を最終的にTAの4倍に拡張して(TAx4)、データ取得ペースを4倍に上げて、hotspotの兆候の確証、その他、エネルギー、質量組成、到来方向の異方性に関わる研究を行い、近傍超銀河宇宙を解明する。2019年2月と3月に最終目標の約半分の地表検出器の設置を行い(第1フェーズ)、現在データを取得中。

TAの低エネルギー領域へのエネルギー拡張(TALE)

TAがカバーしているエネルギー領域の低エネルギー側への拡張を行い、TAと合わせて1016.5eV~1020.5eVの領域の宇宙線物理の研究が提案されています。既存の大気蛍光望遠鏡の近くのTAサイト内の一部に高密度に地表粒子検出器を設置することとTALE用に大気蛍光望遠鏡を設置することを計画しています。この計画により、5x1017eV付近の2nd Knee、5x1018eV付近のankleを含めたエネルギースペクトル、非等方性 (anisotropy)、化学組成に関して詳細に研究を行います。この研究により

  • 銀河系内起源の宇宙線から銀河系外起源の宇宙線への遷移
  • 超高エネルギー陽子宇宙線と宇宙背景放射光子との相互作用による電子陽電子対生成

といった加速・伝播に関わる天体物理の機構の解明を行います。

mataまた、超高エネルギー領域でのハドロン相互作用の研究も行います。ヨーロッパのCERNで行われているLHCが7TeV陽子と7TeV陽子との衝突を行うと重心系では14TeVとなります。これは陽子の静止系でみると1017eVの陽子との衝突と等価になります。その超全前方の反応を測定実験としてLHCf実験があります。TALE実験により、1017eVのエネルギーをもった宇宙線の空気中での相互作用が加速器による実験(LHCf)と直接比較できることになります。

将来計画

将来計画へ向けたR&D

地上における最高エネルギー宇宙線観測の拡張提案

将来、最高エネルギー領域の宇宙線の点源が確認される場合などを含めて、エネルギースペクトル、化学組成まで詳細に測定し、宇宙物理の研究するために、現在の最高エネルギー宇宙線観測所を100倍規模に拡張して、高統計・高精度による観測を提案しています。

  1. 地表粒子検出器による拡張
  2. 大気蛍光望遠鏡による拡張

上記宇宙線観測所のサイズの拡張に関して以下のR&Dが始まっており、宇宙線研究所のTAグループも協力して行っていく予定です。

宇宙からの最高エネルギー宇宙線観測 (JEM-EUSO

  • 国際宇宙ステーション(ISS)に超広視野の望遠鏡を搭載して1020電子ボルトを超える宇宙線を検出するJEM-EUSO計画に参加
    • PMT較正
    • 飛行中の望遠鏡較正
  • 宇宙線研共同利用(代表:滝澤[理研]):TAサイトにおけるJEM-EUSOの宇宙線望遠鏡のprototypeの試験
    • TAの電子加速器(ELS)から射出された電子ビームによって生成された疑似空気シャワーからの大気蛍光の観測
    • 中央レーザー装置(CLF)からレーザービームの散乱光の観測
    • 宇宙線の空気シャワーの観測(TAの観測結果との比較によるJEM-EUSO望遠鏡prototypeの較正)