公開日:2023.11.24
2021年5月27日にテレスコープアレイ実験地上検出器によって、244エクサ電子ボルトという、TA実験史上最高エネルギーの宇宙線を観測しました。この結果は本日公開の科学雑誌Scienceに掲載されました。
本事象の空気シャワー想像図。実際の空気シャワーの到来方向と位置、テレスコープアレイ実験の配置と信号が記録されたタイミング(色で表示)を忠実に再現している。(画像提供: 大阪公立大学/京都大学L-INSIGHT/Ryuunosuke Takeshige)
サイエンス誌の記事(本ページ編集時点でリンクエラー...)
データ解析でこの事象を発見し、その後の解析と論文執筆を主導した藤井准教授の所属する大阪公立大学から記者発表があり、多くのメディアでも取り上げられています。
今回の宇宙線事象は、1991年にアメリカのグループが観測した320エクサ電子ボルトに次ぐ、史上2番目に高いエネルギーを持っています。これだけ高いエネルギーの宇宙線なら、宇宙の磁場に曲げられないで起源天体の方向から真っ直ぐに飛んでくるかと思いきや、この宇宙線の到来方向に特徴的な天体は見つかりませんでした。しかも、到来方向は「ボイド」と呼ばれる銀河間の天体が少ない隙間方向です。何もない場所から不思議な粒子が飛んできたのでしょうか?まだそうとは言いけれません。重い原子核であれば銀河系内の磁場で曲げられるので、今後データを精査して粒子の種類(原子核の種類)を推定する必要があります。詳しい解説は下記をご覧ください。
データを蓄積していくと宇宙は驚くような姿を見せてくれるものです。TAの拡張であるTAx4も順調に稼働しており、こんな事象が今後も観測できることを期待しています。
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