現場の「泥臭さ」にせまる CTA大口径望遠鏡1号機

ラパルマでの暮らしについて教えてください。
久門
常に春の島。
深見
標高が高い部分は寒いですけど、海岸沿いは暖かい、リゾート地ですね。海は綺麗であったかいし、開放的。休みの日は、特に何をするわけではないんですけど海に入って、楽しいです。
黒田
山の下に一軒家を借りていて、滞在中はそこで寝泊まりをします。CTAハウスと呼んでいます。夜は星が満点に見えます。
深見
母屋があって、離れがあって、全部で5部屋。5LDKくらい?
久門
お風呂も3つあります。母屋にふたつ、離れにひとつ。
深見
同じ数のトイレもあります。
久門
あとプールが外にあります。ひょうたん型のホテルとかにあるようなプール。11月でも泳げました。
深見
プールは毎日は泳がないですけど、助教のDanielは大好きですね。朝は早く起きて泳いでいます。
久門
あとBBQもできます。
深見
キャンプ場のバーベキュー広場で見かけるような石で囲われたコンロがあります。Danielがいろんな人を呼んでパーティーをしました。
久門
お祭り大好きなんですよね。毎晩パーティーをしたがる(笑)。朝6時くらいまで飲んだ日もありました。
ラパルマでは何を食べてるんですか?
深見
あるいて5分くらいのところスーパーがあります。他にも車で5分くらいのとこに大きいスーパーも。基本的に自炊が多いですね。
久門
マンゴーばっかり食べてました。マンゴーじゃない、マンガーだ。
深見
マンガーっていうフルーツがあって。甘いんですよ、むちゃくちゃ。
久門
おいしいです! マンガーめっちゃ食べてます。
深見
表面が緑色で、大きさは日本のメロンよりちょっと大きい。値段は6ユーロ(700円)くらい。切ると中は黄色でマンゴーの色。2、3人で分けて食べました。ものすごい甘いんです。
マンガ―、食べてみたいなぁ……。
久門
朝ごはんは、アボカドとハムとパンと目玉焼きとか。自分で作ります。
深見
アボカド、めちゃくちゃ美味しいですね。
久門
アボカドばっか食べてますよね(笑)。
ラパルマならではのものは食べましたか?
深見
魚がフレッシュですね。プルポアラガレーガっていう、タコのマリネのようなものが印象に残っています。オリーブオイルが塗りたくってあって、にんにくが入っていて、スパイスが振りかけられてる。とりあえず美味しかったって記憶しかない。お店で食べました。
久門
日本と食があいますよね。魚食べられますし。
現地の人と交流しましたか?
稲田
年に一度の「Los Indianos」というカーニバルに参加しました。みんな白い服を着て白い粉(ベビーパウダー)をかけあうというラパルマ島固有の奇妙なお祭りです。昔ベネズエラに出稼ぎに行って帰ってきた人たちが、豊さのしるしとして当時は貴重な小麦粉を投げ合ったのがはじまりとされています。さすがラテン系のお祭りだけあって、町中に音楽が溢れ、みんなで踊っていました。アジア人はほぼ僕たちしかいなかったので、珍しがってよく声をかけられました。
覚えたスペイン語はありますか?
深見
プエデモベールエルコチェ(車を動かしてください)(笑)。
久門
ミルカという地域にCTAの作業場があるのですが、すぐ下が車屋さんなんですよね。作業場に行くときに修理する車がたくさん停まっていて通れないときがあって、「車動かしてください」っていうスペイン語を覚えました(笑)。
山の上ではどんな生活なんですか?
高橋
僕たちは基本的には山の上にこもっていました。火山島なので、石がごろごろ転がっているような荒々しい風景です。コンパクトなんですがバラエティーに富んだ、箱庭のような島ですね。景観は本当にすばらしいです。星空も。雲が下にあって、雲海が眼下に広がっています。
深見
世界最大級のカルデラがあるんです。Google Earthで見ると三角形の島の真ん中にでかいカルデラが見えます。10万年か100万年くらい前の噴火でできたもの。火山がだんだん南下していって、一番最近噴火した最南端では50年前くらいに爆発したばかり。そのあたりは最近爆発したばかりなので植物も生えてなくて、土も真っ黒で。
岩村
私はMAGIC望遠鏡の観測のシフトで山の上にしばらく滞在していたんですけど、山の下には週に1回降りるかどうか。山の下だと観光地のような楽しいことができるんですけど、上にいるとそんなに頻繁に降りることはできません……。
高橋
基本的に4、5人でシフトに入り、そのうちひとりが休みで、全員の分のご飯を作っていました。
岩村
カレーは人気があります。
高橋
カレーは喜ばれますね。オーストリア人の人がひとりで鍋全部、食べちゃったりして(笑)。
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