大学院受験

大学院で研究に参加を希望する方は、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 宇宙・宇宙素粒子実験(A8)サブコースを選択して受験してください。研究は、佐川教授、瀧田教授と協力して進めているので、希望の研究テーマに合わせて複数の研究室を希望することをおすすめします。また、東京大学以外の多くの大学とも共同研究を進めているので、他大学でも一緒に研究することができます。

2020年(2021年度入学)の大学院説明会は5月30日に物理学専攻各研究グループの説明会がオンラインで開催されます。ぜひ、ご参加ください。

宇宙線研究所独自のオンライン説明会も6月6日(土)に開催します。ゆっくりと話をしたい方はこちらへの参加がおすすめです。事前予約が必要なので、宇宙線研究所のホームページから予約して参加してください(定員はないです)。

説明会の日時については、下記のリンクから最新の情報を入手してください。説明会に参加できない方の個別の訪問も歓迎しています。訪問を希望される方は sako[AT]icrr.u-tokyo.ac.jpにご連絡ください。([AT]を@に変換してください))

大学院での研究テーマ

大学院では、宇宙線空気シャワー観測をすすめるテレスコープアレイ実験グループかALPACA実験グループに所属して、実験・観測・データ解析等の研究をすすめてもらいます。研究の進展に応じて、高エネルギー反応を調べる加速器実験(LHCf、RHICf)と空気シャワー実験をリンクするするような研究や、空気シャワーシミュレーションをもちいた研究もおこないます。

  • テレスコープアレイ(TA)拡張実験TAX4による極高エネルギー宇宙線源の探索

    テレスコープアレイ実験は2019年はじめに、拡張計画(TAX4)の第一期設置作業を完了しました。2019年度から装置の初期運用を開始して、次第に本格的なデータ収集をはじめます。2020年度に入学する大学院生は、面積を拡張したテレスコープアレイ実験の新しいデータを解析します。世界が注目するデータであると同時に、新しい装置のはじめの解析でいろいろな課題もみつかると思います。やりがいのある研究テーマです。

    テレスコープアレイがこれまでの10年間に収集したデータでも、まだまだ解析すべきテーマがあります。空気シャワー中のミュー粒子数異常の解明や、機械学習による新しい解析方法の開発など、新しいアイディアを生かした研究をすすめられます。

  • ALPACAプロトタイプALPAQUITAによる南天100TeVガンマ線天体の探索

    ALPACAは、2019年度前半に小型装置(全体の20%の面積)のALPAQUITA(アルパキータ;アルパカちゃん、という意味)を建設します。年度後半からはALPAQUITAの地下にミュー粒子観測用の水チェレンコフ水槽の建設を開始します。2020年度に入学する大学院生は、ALPAQUITAの初期データ解析をすると同時に、ボリビアでのミュー粒子検出器の設置や立ち上げに携わります。(標高4700mでの作業は個人によって向き不向きがあるので、強制はしません。)

    ALPAQUITAは小型ですが、南半球の高山ではじめての本格的な空気シャワー観測実験です。また、ミュー粒子検出器を使うことで特に明るい100TeVガンマ線天体の発見が期待できます。

  • 最新加速器実験結果を利用したモンテカルロシミュレーションと空気シャワー観測データを用いた宇宙線粒子種の研究

    宇宙線空気シャワー観測で一次宇宙線の粒子種を知るには、粒子種と空気シャワー発達の関係をつなぐモンテカルロ(MC)シミュレーションが必要です。MCシミュレーションには、高エネルギーの素粒子反応を仮定したモデルを使う必要があり、LHCをはじめとする加速器を使ったモデルの検証が盛んにおこなわれています。最新のモデルを使った空気シャワーシミュレーションを行い、空気シャワーの新しい観測や解析の方法を提案します。

    空気シャワーシミュレーションには、CORSIKAというコードが有名ですが、日本で開発されたCOSMOSの開発もすすめています。空気シャワー発達の素過程と観測量の関係を深く理解するには、中身のわかるコードが使えることが便利です。また、CORSIKAとの比較をしながらシミュレーション自身の不定性を小さくすることも重要です。

 

大学院での研究のスタイル

観測実験を中心に研究をすすめているので、できるだけ実験装置に触れ、できれば開発や改良に加わってもらいます。研究のフェーズによっては、シミュレーションによる装置のデザインが中心になることもあります。これまでの経験は問いませんが、もの作りを楽しめることが大切です。

TA、ALPACAともに、新しい観測データがとれる面白いタイミングです。初めはデータをみながらの装置の改善(バグだし)が主な作業になるでしょう。装置を安定に動かしながら、次第に科学解析にすすむことになります。

TA実験はメンバーが100人をこす国際共同実験です。共同研究者同士の会議や、観測装置のメンテナンス、観測シフト等で頻繁に海外に出張することになります。海外での活動に積極的に参加してください。

ALPACA実験は小規模な国際共同研究です。装置の建設やメンテナンスのためにボリビアに滞在する必要があります。観測施設は標高4700mで、独特の文化圏の国なので、現地作業への参加は個々に相談しながらすすめます。

宇宙線の研究は宇宙物理と密接につながっています。一方、宇宙線の反応は高エネルギー物理学でもあり、空気シャワーの発達は地球物理とも関係します。「宇宙線」をキーワードに広い視野で研究をすすめてください。