High Energy Astrophysics Group Seminar




Date Presenter Contents/Abstract
15.06.17
15:00-
柴田 三四郎
(KEK)
"ガンマ線バーストの輻射輸送シミュレーション"
ガンマ線バーストは約10^51ergという膨大なエネルギーが典型的には数十秒程度の間に主にガンマ線として放射されるという宇宙でも最も激しい現象の一つであるが、その放射機構は発見から40年以上経った現在でも 未だ解明されていない。
近年、相対論的ジェットからの熱的な放射が注目を浴びているが、ジェットからの熱的放射がどの様な性質を持つか調べるには数値シミュレーションによる定量的な議論が必要である。我々は流体シミュレーションによって 得られた相対論敵ジェットの構造を元に、ジェットからの熱的放射について輻射輸送計算を行った。その結果、観測される熱的放射のスペクトルは黒体放射よりも幅の広い形となり、ピークエネルギー付近ではバンド関数のように 観測される可能性がある事が分かった。本セミナーではその結果について紹介する。
15.06.10
15:00-
霜田 治朗
(青山学院大学)
"現実的星間媒質中を伝播する超新星残骸衝撃波での宇宙線加速効率についての理論研究"
本研究では, これまでの超新星残骸の研究で無視されてきた衝撃波上流媒質の非一様性を考慮した3次元磁気流体数値シミュレーションによって, 超新星残骸でのH輝線放射の固有運動と衝撃波接続条件から見積もられる宇宙線生成効率が,実際より大きく見積もられてしまう可能性があることを明らかにした。
地球近傍の宇宙線のエネルギー密度は、超新星爆発の約10%が宇宙線加速に使用されていれば説明できる。一方RCW 86という超新星残骸の場合、 Hα輝線放射の固有運動から「1次元の」衝撃波接続条件によって見積もられる下流の温度は、Hα輝線やX線放射の分光観測から見積もられる下流の温度 よりも高く、その差分のエネルギーが全て宇宙線加速に使用されたと仮定すると、超新星残骸衝撃波の運動エネルギーのうち50%以上が宇宙線加速に使われていると見積もられている(e.g., Helder et al. 2009)。現在、超新星残骸での 高効率宇宙線加速は世界的に認知されている。
 最近の磁気流体シミュレーションによって、これまでの研究で無視されてきた星間媒質がもつ典型的な密度揺らぎによって衝撃波が波打ち、下流に強い磁気乱流が発生することが報告されている。このとき、衝撃波の運動エネルギーは 下流の熱エネルギーだけでなく乱流にも分配されることになる。よって、固有運動と1次元の衝撃波接続条件が予言する下流の温度は、実際の下流の温度よりも小さくなり、宇宙線加速効率を大きく見積もってしまう可能性がある。本セミナー では、これを確認するために行った3次元磁気流体シミュレーションデータからのHα輝線放射の計算とその結果について紹介する。
15.04.15
15:00-
高本 亮
(東大本郷)
"相対論的磁気リコネクションと乱流による磁場散逸の加速"
近年相対論的磁気リコネクションは、粒子加速や効率の良い磁場散逸の物理機構として注目を集めている。
本セミナーでは近年の磁気リコネクションの発展のreviewを行い、更に相対論的プラズマ中での乱流による磁気リコネクションの加速についての研究成果を報告する。