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天体粒子加速研究の発展と現状(5)

衝撃波統計加速:加速の反作用

超新星残骸をはじめとする、多くの天体衝撃波では加速効率が非常に高く、被加速粒子のエネルギー密度が背景プラズマのもつ熱エネルギー密度・磁場エネルギー密度と同程度になる(凌駕する?)ことがあると考えられている。そのような状況下では、被加速粒子の反作用により衝撃波構造が変成を受けると期待され、宇宙線変成衝撃波(CRMS=`cosmic-ray-modified shocks' または`cosmic-ray-mediated shocks')と呼ばれている[8]}。この場合、上流側の宇宙線の圧力の勾配によってプラズマ流が部分的に減速・圧縮されるので、衝撃波構造は図5(b')、(c')のように変わると期待される。

 
図5(続き): 加速された粒子の反作用により衝撃波構造が変成を受ける場合。(a')宇宙線強度、(b') プラズマ速度、(c') 磁場強度。プラズマ速度と磁場強度は宇宙線のもつ圧力勾配の影響を受け、上流側でゆるやかな変化を示す。

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