「教育とは、学校で習ったすべてのことを忘れてしまった後に、自分の中に残るものをいう。」 by A.Einstein

KAGRA Digital System

KAGRAを重力波望遠鏡として運用するには、少なくとも5つの入りくんだ光共振器の長さの自由度をそれぞれよいSNで取得し、かつその光共振器が共振するようにその長さを制御しなければなりません。従来のシンプルな重力波望遠鏡ではその長さの自由度が少なかったので、アナログ制御でなんとか間に合っていましたが、KAGRAでは複雑すぎるためデジタル制御を行うことが必須です。このデジタル制御では、その各共振器の長さの制御に最適な制御フィルターをPC画面上で、自由に即座に変更できるとともに、5つの長さの制御を順序立てて制御していくスイッチング等、非常に多くの自由度をもってKAGRAを重力波望遠鏡として運用することが可能となります。現在は、アメリカのLIGOグループと強力な協力関係の元、KAGRA用のデジタルシステムを構築しております。。

実験名 KAGRA デジタルシステムの開発
主な参加者 宮川、上泉
発表・参考文献 2013物理学会・春
「計算機を利用したKAGRAの制御(IV)」宮川治
2012物理学会・秋
「計算機を利用したKAGRAの制御(III)」宮川治
2011物理学会・秋
「計算機を利用したLCGTの制御」宮川治
予算 最先端研究基盤事業

KAGRA Radiation Duct Shield

KAGRA では、干渉計、防振装置全体を冷却することが困難であるため、ビームダクト、防振装置は常温のまま、鏡を収容する低温槽のみを冷却する。そのため、低温槽開口部から入射する熱放射を低減する必要がある。この方法として、図1 に示したようなダクトシールド(アルミニウム、100 K)を用いて300 K 領域(赤で示した)を見込む立体角を小さくする方法がある。しかし、それでも熱放射がダクトシールド壁面で反射して低温槽に入射する[1] ため、図2 のようなバッフルを入れることでどの程度この入射パワーが減るかを光線追跡を用いて計算した。その結果、1 つのダクトシールドにつきバッフルを5 枚入れることで、熱放射は冷却能力に比べて1 桁小さい値まで低減可能であることがわかった。今後、低温槽、ダクトシールドを試作し、計算結果を実証する予定である。。

実験名 熱輻射シールドの開発
主な参加者 榊原、陳タン、東谷、山元、内山、鈴木、木村、齋藤
発表・参考文献 1. N. KIMURA, Y. SAKAKIBARA, S. KOIKE, T. OHMORI, T. SUZUKI, H.YAMAOKA, LCGT Collaboration, “ Present Design of LCGT Cryogenic Payload - Status of Cryogenic Design ”, GWADW, Id:15, La Biodola, Isola d'Elba, Italy (May 2011).
2. Yusuke Sakakibara, Toshikazu Suzuki, Nobuhiro Kimura, Takayuki Tomaru, Kazuaki Kuroda, Yoshio Saito, Shinji Miyoki, Kazuhiro Yamamoto, Takashi Uchiyama, “ Measurement of thermal radiation (funneling) through a shield pipe for LCGT ”, ICEC24-ICMC 2012, 16P-P01-02, Fukuoka, Japan (May 2012).
3. Y. Sakakibara, T. Suzuki, T. Uchiyama, K. Yamamoto, A. Cumming, R. Douglas, K.Haughian, I.Martin, P. Murray, S. Rowan, D. Heinert, G. Hofmann, R. Nawrodt, C. Schwarz, “Mechanical loss measurement of sapphire fibers and disks”, Einstein Telescope Meeting 2012, Albert Einstein Institute, Hannover, Germany (December 2012).
4. Y. Sakakibara, N. Kimura, T. Suzuki, K. Yamamoto, D. Chen, C. Tokoku, T.Uchiyama, and K. Kuroda, “A study of cooling time reduction of interferometric cryogenic gravitational wave detectors using high emissivity coating”, CEC/ICMC 2013, 2013-0073, Anchorage, Alaska (June 2013).
2011物理学会・秋
「LCGTダクトの輻射シールドからの入熱量計算」榊原雄介

予算 最先端研究基盤事業

KAGRA Cryostat

構築中。

実験名 KAGRA Cryostat開発
主な参加者 榊原、陳タン、東谷、山元、内山、鈴木、木村
発表・参考文献 2013物理学会・春
「KAGRA冷却系の性能試験」鈴木敏一
「KAGRA初期冷却時間の短縮法とその実証」榊原裕介
「KAGRAの低温加速度計の開発(2)」陳 たん
2012物理学会・秋
「KAGRAの低温加速度計の開発」陳 たん
「KAGRA用冷凍機の冷却能力測定」榊原裕介
予算 最先端研究基盤事業

KAGRA Cryocooler

構築中。

実験名 KAGRA Cryocooler開発
主な参加者 榊原、陳タン、東谷、山元、内山、鈴木、木村
発表・参考文献 2013物理学会・春
「KAGRA冷却系の性能試験」鈴木敏一
「KAGRA初期冷却時間の短縮法とその実証」榊原裕介
「KAGRAの低温加速度計の開発(2)」陳 たん
2012物理学会・秋
「KAGRAの低温加速度計の開発」陳 たん
「KAGRA用冷凍機の冷却能力測定」榊原裕介
予算 最先端研究基盤事業

KAGRA Vibration Isolation

レーザー干渉計重力波検出器は鏡同士の距離の微小変化を検出することにより重力波を捉える。そのため、なるべく重力波以外の要因で鏡が揺れないようにしなければならない。地上に検出器を作る場合、地面振動は鏡を揺らす大きな要因となるため鏡を防振する必要がある。KAGRAではSAS(Seismic Attenuation System)と呼ばれる低周波防振システムにより、水平方向と鉛直方向の両方を防振する。防振装置を通じて地面振動が鏡にどう伝達するかを見積もるため、防振装置の3次元剛体モデルの構築を現在進めている。また、干渉計を動作させるためにはアクチュエータを用いて鏡の位置や角度を制御する必要があるが、鏡および防振装置に力やトルクを加えた時にどういった挙動を示すかについてもシミュレーションを行っている。アクチュエータによって鏡に直接力を加えると雑音が混入する恐れがあることから、鏡の一つ上の段(中段マスと呼ばれる)に力を加えることで、制御雑音の影響を抑えつつ鏡の位置を制御することを現在検討している。

実験名 KAGRA Mirror Suspensions
主な参加者 高橋、関口、R.Desalbo、宮川、山元、内山、上泉、高森、石崎、E.Majorana、J.Van den Brand、E.Hennes、A.Bertonlini、N.Lockerbie
発表・参考文献 T.Sekiguchi, "External forces from heat links cryogenic suspensions", GWADW in Waikoloa Marriot Resort, Hawaii, May 2012.
2013物理学会・春
「KAGRA用防振装置のプレアイソレータの性能測定 III」関口 貴令
「KAGRA用防振装置の開発 IX」高橋 竜太郎
2012物理学会・秋
「KAGRA用防振装置の開発 VIII 」高橋 竜太郎
「KAGRA用防振装置のプレアイソレータの性能測定II」関口 貴令
2011物理学会・秋
「LCGT用防振装置の3次元剛体モデルの構築」関口 貴令
「LCGT用防振装置の開発(5)」高橋竜太郎
予算 最先端研究基盤事業

KAGRA用鏡懸架装置の開発

構築中。

実験名 KAGRA 鏡懸架装置の開発
主な参加者 榊原、陳タン、東谷、山元、内山、鈴木、木村
発表・参考文献 2013物理学会・春
「KAGRA用低温懸架装置の開発II」山元一広
2012物理学会・秋
「KAGRA用低温懸架装置の開発I」山元一広
予算 最先端研究基盤事業

KAGRA Sapphire Mirrors

構築中。

実験名 KAGRA用大型サファイア鏡の開発
主な参加者 廣瀬
発表・参考文献 2011物理学会・秋
「LCGT用鏡の開発に向けた光学的性能評価」廣瀬榮一
予算 最先端研究基盤事業・概算要求

Lock Acquisition in CLIO

第三世代の重力波望遠鏡の要素技術の内、高周波側の感度向上のために行うRSEゲインの増大は、腕FP共振器の光滞在時間を、第二世代重力波望遠鏡以上に大きくすることが大前提となる。もちろん、それに伴う輻射圧雑音の上昇は、鏡の大型化や「Quantum Non Demolition」という将来技術による別の低減努力が必要になるが、そのようなトレードオフは第三世代重力波望遠鏡デザインでは避けては通れず、むしろそれを解決するのが第三世代重力波望遠鏡要素技術開発の研究課題である。そのような研究課題の中、本研究は、第三世代重力波望遠鏡では、光の滞在時間がさらに10倍程度の50ミリ秒オーダーになり、そのFP共振器の共振導入制御は第二世代に比してさらに困難を極めることに着目し、我々の提案する方法により、それを技術的に解決できることを立証することで、第三世代重力波望遠鏡のレーザー干渉計としての基本的動作を保証することを目的とする。

光の滞在時間が長いFP共振器では、防振しきれない鏡のゆれによる(100 [ナノメートル/秒]程度)、鏡で反射するレーザー周波数のわずかな周波数ドップラーシフトでさえ、その位相への影響は大きく、鏡の位置と信号の線形関係が保たれたPound-Drever-Hall (PDH)信号が取得できない問題(ビート問題という)が発生する。ただでさえPDH法では、線形信号領域が狭いという問題もあり、重力波望遠鏡開発グループの世界では、その二つの問題を総称して、「FP共振器のLock Acquire問題」と認識し、その解決策がいくつか提案されている。その対策としては、例えば、アメリカLIGO計画では、干渉計に使用する波長1064nmの倍波である532nmのレーザーをその基本波から生成し、FP共振器を構成する鏡の反射膜を倍波に対しては低い反射率になるように設計することで、まず倍波で共振制御に持ち込み、その後、基本波の共振に切り替える方法が提案されている(倍波ロック)また、日本等では、FP共振器の透過光の強度信号を平方根演算することで、疑似線型信号を取得し、それを使って共振制御した後に、PDH法によって得た信号に切り替える、「オフセットロック」などが提案、実証されている。これに対し、我々は、発明されて20余年経過したPDH法の常識的な利用法から離れ、今まで、無価値、かつ好ましくないと思われていた利用法に着目すること(Near Q-Phase demodulation(NQD)、およびOdd-Harmonics Demodulation (OHD)と命名)で、線形信号領域が狭いという常識を打ち破り、それを拡大することが可能であることを理論的に導き、その検証を、科学研究費補助金研究・基盤C(平成22年〜24年)の形で行い、理論を実証する成果を残した。さらにその研究の中で、NQD、OHDが、先のドップラーシフトのビートにすら鈍感になれるという他の手法にはない極めて特筆すべき利点を併せ持つことも理論的計算で示すことができた。

本研究では、この独創的なNQD, OHD信号取得におけるビート攪乱耐性が、第三世代重力波望遠鏡で予想され50ミリ秒程度の光滞在時間のFP共振器の共振導入制御においても有効であることを、第二世代重力波望遠鏡プロトタイプである基線長100メートルのCLIO(東大宇宙線研所有の研究施設)の光学系を改造し、この光滞在時間50ミリ秒程度のFP共振器を構築し、それに適用することで実証する。

実験名 鏡と制御の開発
主な参加者 三代木、内山、大橋、宮川、広瀬
発表・参考文献 物理学会
予算 科学研究費補助金 基盤B,C

Thermal Noise Reduction in CLIO

構築中。

実験名 CLIOの開発
主な参加者 大橋、榊原、山元、内山、大橋、宮川、三代木
発表・参考文献 物理学会
予算 科学研究費補助金 基盤B

QND

干渉計型重力波検出器における雑音の中に量子雑音と呼ばれる光の量子性に起因する雑音が存在する。この量子雑音は非常に小さいが、KAGRAなどの次世代重力波観測器においては量子雑音が感度をリミットすると言われている。そのため、更なる感度を持った重力波観測器を開発し、重力波天文学を確立するためには量子雑音の低減が必要になる。我々の研究では量子雑音の中でも輻射圧雑音と呼ばれる雑音の観測や、低減技術の検証に特化したテーブルトップのシステムの構築を行っている。重力波観測器には、標準量子限界と呼ばれる不確定性原理に起因する感度限界が存在するが、このシステムを利用し量子雑音低減技術の開発を行うことで、標準量子限界を越えた重力波観測器の開発へ貢献することが、この研究の目的である。輻射圧雑音とは、光子数の量子的な揺らぎにより光の輻射圧が揺らぎ、干渉計を構成する鏡を揺らすために発生する雑音である。輻射圧雑音には(1)鏡の質量が小さく、(2)光のパワーが大きいほど大きいという特徴がある。そのため、(1)重さ20mgの極小鏡を使った(2)高フィネスの共振器を構成することで、懸架鏡を利用した世界初の輻射圧雑音の観測を目指す。

実験名 量子非破壊計測
主な参加者 中野、川村、フリードリッヒ
発表・参考文献 2013物理学会・春
「レーザー干渉計重力波検出器における量子非破壊計測の研究(12)」中野 雅之
予算 科学研究費補助金 基盤B

重力勾配計の開発

構築中。

実験名 Gravity Gradiometer
主な参加者 黒田
発表・参考文献 2013物理学会・春
自由落下型水平重力勾配計の開発(I)
予算 科学研究費補助金 基盤B

宇宙線研共同利用研究(上記研究関連以外)

2013年度
坑内地球物理観測でとらえる水と雪のダイナミクス 今西 祐一, 新谷 昌人, 高森 昭光(東大地震研), 大橋 正健, 三代木 伸二, 内山 隆,(宇宙線研) 福田 洋一, 風間 卓仁, 川崎 一朗, 森井 亙, 加納 靖之(京都大学), 田村 良明, 寺家 孝明(天文台), 池田 博(筑波大学), 名和 一成(産総研)
超狭線幅光源のための光共振器の開発 井戸 哲也, 蜂須英和, 藤枝美穂, 長野重夫, 熊谷基弘, 石島博, 野上朝彦(情報通信研究機構), 三代木伸二, 助教・内山隆, 大橋正健(宇宙線研)
2012年度
レーザー伸縮計と超伝導重力計の同時観測による地球の固有振動の研究 田村良明, 寺家 孝明(天文台), 今西 祐一, 新谷 昌人, 高森 昭光(東大地震研), 大橋 正健, 三代木 伸二, 内山 隆,(宇宙線研) 福田 洋一, 風間 卓仁, 川崎 一朗, 森井 亙, 加納 靖之(京都大学), 池田 博(筑波大学), 名和 一成(産総研)
超狭線幅光源のための光共振器の開発 井戸 哲也, 蜂須英和, 藤枝美穂, 長野重夫, 熊谷基弘, 石島博, 野上朝彦(情報通信研究機構), 三代木伸二, 助教・内山隆, 大橋正健(宇宙線研)
2011年度
レーザー伸縮計と超伝導重力計の同時観測による地球の固有振動の研究 田村良明, 寺家 孝明(天文台), 今西 祐一, 新谷 昌人, 高森 昭光(東大地震研), 大橋 正健, 三代木 伸二, 内山 隆,(宇宙線研) 福田 洋一, 風間 卓仁, 川崎 一朗, 森井 亙, 加納 靖之(京都大学), 池田 博(筑波大学), 名和 一成(産総研)
超狭線幅光源のための光共振器の開発 井戸 哲也, 蜂須英和, 藤枝美穂, 長野重夫, 熊谷基弘, 石島博, 野上朝彦(情報通信研究機構), 三代木伸二, 助教・内山隆, 大橋正健(宇宙線研)
2010年度
レーザー伸縮計と超伝導重力計の同時観測による地球の固有振動の研究 田村良明, 花田英夫(国立天文台地球回転研究系),川崎一朗 助教・森井 亙(京都大学防災研究所),福田洋一, 東 敏博, 由井智志(京都大学大学院理学研究科),新谷昌人, 高森昭光,堀 輝人(東京大学地震研究所),大橋正健, 内山隆, 三代木伸二(東京大学宇宙線研究所), 今西祐一(東京大学海洋研究所), 池田 博(筑波大学研究基盤総合センター), 名和一成(産業総合研究所)
2009年度
レーザー伸縮計と超伝導重力計の同時観測による地球の固有振動の研究 田村良明, 花田英夫(国立天文台地球回転研究系),川崎一朗 助教・森井 亙(京都大学防災研究所),福田洋一, 東 敏博, 由井智志(京都大学大学院理学研究科),新谷昌人, 高森昭光,堀 輝人(東京大学地震研究所),大橋正健, 内山隆, 三代木伸二(東京大学宇宙線研究所), 今西祐一(東京大学海洋研究所), 池田 博(筑波大学研究基盤総合センター), 名和一成(産業総合研究所)
2008年度
レーザー伸縮計と超伝導重力計の同時観測による地球の固有振動の研究 田村良明, 花田英夫(国立天文台地球回転研究系),川崎一朗 助教・森井 亙(京都大学防災研究所),福田洋一, 東 敏博, 由井智志(京都大学大学院理学研究科),新谷昌人, 高森昭光,堀 輝人(東京大学地震研究所),大橋正健, 内山隆, 三代木伸二(東京大学宇宙線研究所), 今西祐一(東京大学海洋研究所), 池田 博(筑波大学研究基盤総合センター), 名和一成(産業総合研究所)
2007年度

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