MeV GAMMA-RAY DETECTOR DEVELOPMENT

MeVガンマ線検出器開発

X線とGeV–TeVガンマ線の間にある「MeVギャップ」を埋め、未開拓の高エネルギー宇宙物理を観測するための検出器開発を紹介します。

トップページへ戻る

1なぜMeVガンマ線が重要なのか

MeV帯、特におよそ 0.1–100 MeV のガンマ線は、宇宙の高エネルギー現象を理解するうえで重要な領域です。

しかし、X線望遠鏡やGeV–TeVガンマ線望遠鏡に比べ、この帯域には十分な感度を持つ検出器が少なく、現在も MeVギャップ と呼ばれる観測の谷間が残っています。

MeV帯は、感度の高い観測がまだ十分に開拓されていないフロンティアです。
MeV領域の感度ギャップを示す観測装置の感度曲線
感度曲線の谷間として現れるMeV領域。ここを埋める検出器開発が重要。

ブレーザーのICピーク

逆コンプトン散乱で生じる高エネルギー成分のピークはMeV領域です。その観測でジェットの粒子加速を探ります。

セイファート銀河のコロナ放射

超巨大ブラックホール近傍の高温コロナからの熱的・非熱的放射が、MeV領域では自己吸収されずに出てきます。それを測定し、降着流の物理に迫ります。

12C・16Oの数MeV核線

狭い核ガンマ線ピークは、宇宙線ハドロン加速の直接的な証拠になります。

π0崩壊ガンマ線

高エネルギー陽子が物質と衝突して生じるπ0崩壊を追跡し、宇宙線の起源を探ります。

パルサー風星雲

パルサー風中の粒子加速と放射機構を、多波長観測とつなげて理解する重要な帯域です。

MeV帯には、多様な高エネルギー宇宙物理が集中している。しかし、感度の高い検出器が存在しない。

2MeVガンマ線はどう測るのか:コンプトン散乱と到来方向

MeVガンマ線は、検出器内でコンプトン散乱を起こします。第1相互作用点、第2相互作用点、散乱後ガンマ線のエネルギーを測ると、コンプトン散乱角 θ は求まります。

ただし、散乱角 θ だけでは、入射ガンマ線が「どの方向から来たか」は一意に決まりません。反跳電子の飛跡方向を測れるかどうかが、到来方向再構成の精度を大きく左右します。

反跳電子の方向を測らない場合

散乱後ガンマ線の向きとエネルギーから散乱角 θ はわかりますが、入射方向の方位角は残ります。

  • 到来方向は一点ではなく、円すい上に広がる。
  • 天球面に投影すると イベントサークル になる。
  • 1事象だけでは、到来方向を一意に決められない。
反跳電子の方向も測る場合

反跳電子の飛跡を測ると、散乱平面が決まり、イベントサークル上のどこから来たかを絞り込めます。

  • 到来方向の不定性が大きく減る。
  • バックグラウンドを抑えやすくなる。
  • 画像化能力と感度の向上につながる。
重要なポイント: MeVガンマ線検出器では、単にエネルギーを測るだけでなく、相互作用点、散乱ガンマ線の方向、可能なら反跳電子の飛跡まで測ることが、高感度観測の鍵になります。 しかし、反跳電子の飛跡まで測ろうとしているMeVガンマ線検出器は、今のところガスTPC検出器"SMILE III"しかありません。ガスよりも検出効率がよく、しかも飛跡が測れる検出器は作れないかと、考えました。

3新型MeVガンマ線検出器

重要なポイント: まだ開発中ですので、公開は避けます。興味のある方はご連絡ください