2025年度開始!

例によってこの一年の振り返りを。

まずは、藤末君学位取得おめでとう。一年前の話ですが… 修士課程からTAx4の運用とデータ解析をすすめ、最初のエネルギースペクトルを導出しました。データ蓄積がすすむこれからが楽しみです。藤末君は2024年5月から台湾のアカデミアシニカで研究員として活躍しています。

フランスIAPのKumiko KoteraさんとLPNHEのOlivier Martineauさんが宇宙線研を訪問しました。近所の柏の葉公園が絶好のお花見日和でしたね。テレスコープアレイ実験のシンチレーション検出器と、GRAND実験の電波検出器を組み合わせて新しい観測が可能か、の研究をすすめています。この共同研究にあわせて、4月から2名のフランス人学生がインターンシップで宇宙線研に滞在しました。25年度も長期で3名、短期で1名が滞在します。

6月はボリビアを訪問しALPAQUITA検出器のメンテナンス作業。サンアンドレス大学の新しい学長とも面談し、今後もALPACA実験を支援してもらえるようお願いしてきました。

7月は国際会議シーズン。複数の学生と研究員は韓国での国際会議に出席し研究発表を。私はプラハで開催されたICHEP会議でALPACA実験の近況を講演しました。

9月は秋の物理学会@北海道大学。人生初の北海道。

10月は名古屋大学で開催された宇宙天気に関する国際会議に出席。2024年5月の太陽コロナ質量放出(CME)に伴ってALPAQUITAで観測されたForbush Decreaseについて報告してきました。

10月にはパリのIAPを数日訪問。1カ月の共同研究で滞在する博士学生の高橋さんと、現地研究者との打合せです。大角度で到来する空気シャワーに対するテレスコープアレイ検出器の応答をシミュレーションで検証しました。

11月は南米ツアー。アルゼンチンのオージェ実験サイトで開催されたUHECR国際会議で”Hadronic interaction at LHC:Review for the LHCf and air shower related measurements”の招待講演をしました。初めてのオージェサイト。宇宙線研、テレスコープアレイグループからも大勢現地参加。ユタのテレスコープアレイのサイトにそっくりだけど、ユタよりも緑が多いかな。肉が安くてうまかった。

あ、宇宙線研・テレスコープアレイグループの小山君がポスター発表賞受賞。本人は現地に行けなかったので、なぜか私が代わりに賞をうけとりました(写真)。

アルゼンチンの後は藤田研究員とともにチリのサンチアゴで一泊してボリビアのラパスへ。肉三昧の後にサンチアゴで食べたシーフードに一安心。

ボリビアでは、直接訪問組(大西助教, ANZORENA研究員、M1の杉本君)と、10月に雷で故障した装置の修理と交換。修理可能な部分は修理したけど、予想以上にダメージ大きく、後日大西さんが再訪して復帰。

久しぶりに(自分としては20年ぶり)標高5200ⅿのチャカルタヤ観測所を訪問。やっぱり、4700ⅿのアルパカサイトより圧倒的に空気が足りない。私がM1の時(30年前)は観測所裏が世界最高標高のスキー場としてスキーができたけど、今は全く雪がなくなっていた。地球温暖化の影響とのこと。M1の時に設置した装置と記念写真。パノラマ写真は観測所付近。手前の建物は旧スキー場施設。右手の斜面がゲレンデだったのだけど…中央奥に少し見える建物がチャカルタヤ山宇宙線観測所。さらに奥にちょっと見える雪山がワイナポトシ。6000m峰です。

 

1月は博士論文、修士論文の審査月間。ALPACAグループの水野君、テレスコープアレイグループの小山君、無事合格して博士課程に進学です。おめでとう。

2月と3月はサイエンスキャンプ(東大1,2年生の研究体験)とスプリングスクール(全国の大学3年生の研究体験)でフレッシュな気持ちで実験を。今年はテレスコープアレイ実験のデータ収集回路を使って無線で空気シャワー観測に挑戦。宇宙線研の一階広場に装置を展開してちゃんと空気シャワーが観測できることを確認しました。推定エネルギーはペタ電子ボルト。LHCのビームより100倍以上高いエネルギーだ。外作業する日に限って雪が降ったり強風が吹いたりと大変でしたね。これぞ宇宙線研究、っていう感じだったけど。

 

3月の最終週はいつもの空気シャワー研究会。今年は東京大学次世代ニュートリノ科学・マルチメッセンジャー天文学連携研究機構のサポートで「宇宙線空気シャワー観測によるマルチメッセンジャー天文学の推進」というタイトルで拡大版で実施しました。月曜日はCOSMOSとROBASTの講習会。火曜日と水曜日午前が研究会。研究会では学生優秀発表賞が設けられました。名古屋大学の毛受先生がCERN出張で購入してきたお土産が賞品でした。受賞したみなさんおめでとうございます。水曜日の午後からは台湾アカデミアシニカのAnatoli Fedynich氏のグループを講師とした、機械学習による空気シャワー解析のスクール。英語の講義と実践演習が土曜日まで続きましたが、みんなしっかりとついていけました。桜の花が咲き始めた木曜日には柏の葉公園でお花見。ブルーシートを敷いて食事をする花見に外国人講師達も満足していました。

4月からさこグループに二人、荻尾グループに一人のM1が加入して一層にぎやかになります。

フランスからのインターン生二名も加わりました。

4月1日から私も教授に昇任しました。

2025年04月02日