近傍渦巻銀河における星形成活動性の観測的研究

ミリ波/サブミリ波観測で取得される分子ガスの情報から、近傍渦巻銀河における銀河の構造(中心核、渦状腕、棒状構造、渦状腕間)と星形成活動性(星形成率、星形成効率、ケニカット-シュミッド則)の関係を研究しています。
渦巻銀河では、銀河構造毎に働くガスの運動(銀河衝撃波、せん断力) が分子雲形成を制限すると考えられています。そのため、分子雲形成に伴う星形成活動も銀河構造毎に異なる様子が知られています。観測的には、銀河構造でも特に棒状構造と渦状腕において星形成活動性が異なる様子が確認されていますが、単一の銀河内における銀河構造毎での星形成活動性の定量的な検証は行われていませんでした。そこで、NGC 4303という近傍棒渦巻銀河において銀河構造と各構造における星形成活動性の比較を行いました。その結果、星形成率・星形成効率共に棒状構造のほうが渦状腕より2倍程度低く、星形成が不活発であることが判明しました。更に、NGC 4303で見られた星形成活動性の銀河構造毎の違いが渦巻銀河において一般的な現象であるかを検証するため、渦巻銀河10天体にわたり銀河構造と星形成活動性を比較し、博士論文としてまとめています。
渦巻銀河では、銀河構造毎に働くガスの運動(銀河衝撃波、せん断力) が分子雲形成を制限すると考えられています。そのため、分子雲形成に伴う星形成活動も銀河構造毎に異なる様子が知られています。観測的には、銀河構造でも特に棒状構造と渦状腕において星形成活動性が異なる様子が確認されていますが、単一の銀河内における銀河構造毎での星形成活動性の定量的な検証は行われていませんでした。そこで、NGC 4303という近傍棒渦巻銀河において銀河構造と各構造における星形成活動性の比較を行いました。その結果、星形成率・星形成効率共に棒状構造のほうが渦状腕より2倍程度低く、星形成が不活発であることが判明しました。更に、NGC 4303で見られた星形成活動性の銀河構造毎の違いが渦巻銀河において一般的な現象であるかを検証するため、渦巻銀河10天体にわたり銀河構造と星形成活動性を比較し、博士論文としてまとめています。

宇宙再電離期と銀河形成/進化の観測的研究
高赤方偏移で検出されるライマンα輝線銀河(LAE)周囲のガス(ライマンαハロー)の研究をしています。
銀河とその周辺環境の境界である「ハロー」には、銀河間空間からのガス流入や銀河からのアウトフローによるガス流出の収支が反映されると考えられています。そのためハローガスの形状や性質を理解することは、銀河進化を明らかにする上で重要です。
観測的にはハローガスのトレーサーとしてライマンα輝線が用いられています。ライマンα光子は中性水素ガス中で共鳴散乱をうけます。淡く広がったハローがライマンα光子を共鳴散乱すると、ハローの大きさに応じ、銀河の星成分より大きなライマンα輝線の構造が観測されると期待されます。この、広がったライマンα輝線の構造をライマンαハローと言います。ライマンαハローは非常に淡いガス天体であるため、多数のLAEやライマンブレイク銀河のスタッキング解析によって検出されてきました(※1)。しかし観測とデータ解析に対する要求が厳しいため、ライマンαハローの検出自体にたいし検出・不検出の報告があり混沌としていました。そこで私はすばる望遠鏡によって検出された大規模なLAEサンプルを用いスタッキング解析を行いました。系統誤差を詳細に検証し、ライマンαハローを確実に検出しました。検出されたライマンαハローのサイズを測定し、z=2.2-6.6までのライマンαハローのサイズ進化を議論しました。
※1 スタッキング解析:複数の銀河の画像を足し合わせて淡い成分を検出する解析方法
高赤方偏移で検出されるライマンα輝線銀河(LAE)周囲のガス(ライマンαハロー)の研究をしています。
銀河とその周辺環境の境界である「ハロー」には、銀河間空間からのガス流入や銀河からのアウトフローによるガス流出の収支が反映されると考えられています。そのためハローガスの形状や性質を理解することは、銀河進化を明らかにする上で重要です。
観測的にはハローガスのトレーサーとしてライマンα輝線が用いられています。ライマンα光子は中性水素ガス中で共鳴散乱をうけます。淡く広がったハローがライマンα光子を共鳴散乱すると、ハローの大きさに応じ、銀河の星成分より大きなライマンα輝線の構造が観測されると期待されます。この、広がったライマンα輝線の構造をライマンαハローと言います。ライマンαハローは非常に淡いガス天体であるため、多数のLAEやライマンブレイク銀河のスタッキング解析によって検出されてきました(※1)。しかし観測とデータ解析に対する要求が厳しいため、ライマンαハローの検出自体にたいし検出・不検出の報告があり混沌としていました。そこで私はすばる望遠鏡によって検出された大規模なLAEサンプルを用いスタッキング解析を行いました。系統誤差を詳細に検証し、ライマンαハローを確実に検出しました。検出されたライマンαハローのサイズを測定し、z=2.2-6.6までのライマンαハローのサイズ進化を議論しました。
※1 スタッキング解析:複数の銀河の画像を足し合わせて淡い成分を検出する解析方法