「時間」、「空間」、そして「重力」。あまりに当たりまえで、日常的にはその存在を意識することはないかもしれませんが、これらにはとても不思議な関係があります。強い重力は時空をゆがめ、光の進路をも曲げてしまいます。また、この時空のゆがみが波として宇宙空間を伝わる「重力波」と呼ばれる現象もあります。
重力波は、100年近くも前にアインシュタインの一般相対性理論により存在が予言されましたが、この時空に立つさざなみはあまりに小さく、人類は未だ直接的に観測できていません。もし重力波をみることができるようになれば、強大な重力をもつブラックホールの衝突や、宇宙誕生の瞬間などを観測できるようになり、従来の観測手法では見えなかったまったく新しい宇宙の姿が見えるようになるでしょう。
この時空と重力の織りなす宇宙からのメロディーをとらえるため、岐阜県神岡町池ノ山の地下に、KAGRA(かぐら)と呼ばれる巨大な重力波望遠鏡がつくられています。強いレーザー光を直角に2方向に飛ばして往復させ、交点で光が交わるようすを観測して、わずかな距離の伸び縮みを観測することができます。このしくみはマイケルソン干渉計とよばれ、光の速度を正確に測るためにも使用された精巧な実験装置です。光が混ざると何が起こるでしょうか。
当日は、重力波と重力波望遠鏡のお話をお聞きいただき、マイケルソン干渉計を実際に一から組み立てていただきます。実際に実験をてがける教員、大学院生とともに、光の干渉をご自身の手でつくりだし、空間を伝わる波を「聞いて」みませんか。