乗鞍岳におけるミューオン強度の精密測定

乗鞍岳での観測の目的:

冬季自立運転システム:

figure17
図17:乗鞍観測所の太陽電池パネル(左)と観測室の様子(右)。(拡大)
いつ起こるとも知れぬ「ロスコーン前兆現象」を逃さず観測するためには、測定器を連続して安定に稼動させ続ける必要があります。しかし、乗鞍宇宙線観測所は2004年度から冬季に閉鎖されており、発電機も停止してしまいます。したがって連続観測を維持するためには、測定器に供給する電力を作り出す必要があります。このため、我々は太陽光発電で必要な全電力を賄う自立運転システムを作りました。図17がその写真です。現在は、12枚の太陽電池パネルで発電された電力が一旦10台の蓄電池に貯められ、その後測定器に供給されるようになっています。また、発電量が限られているため、測定器を徹底して省電力化することも必要です。現在のシステム全体は、わずか35Wの電力で稼動することができます。しかし、冬季の乗鞍岳における気象環境は非常に厳しく、低温、積雪、強風など様々な障害を乗り越える必要があります。年間を通じた安定な連続観測を実現するためには、まだまだ解決しなければならない多くの課題が残されています。我々は、今後もこの困難な課題に挑戦し、乗鞍岳における観測を宇宙天気研究に一層役立てて行きたいと考えています。



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