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宇宙線とは?
What's Cosmic Ray ?

宇宙線とは何か?
宇宙線というのは、宇宙から地球に絶えず高速で降り注いでいる原子核や素粒子です。私たちの体も、いつも膨大な数の宇宙線が突き抜けています。

銀河宇宙線は、1千万年位で地球に到達すると考えられています。また近傍からもたくさんの宇宙線がやってきます。宇宙線は地球に到達して大気中に飛び込み、空気中の酸素や窒素の原子核と核反応を起こします。

地球大気に飛び込む前の宇宙線を 「一次線宇宙線」とよび、
大気に飛び込んで変化し新たに生まれた宇宙線を 「二次宇宙線」とよびます。

二次宇宙線は、ミューオン、ニュートリノ、電子、ガンマ線が主要な成分です。このうち電子やガンマ線は大気中で吸収されて減り、地中まで来るのはミューオンとニュートリノがほとんどです。
宇宙線を調べると何が分かるのか
宇宙線を調べるのは、そこに物質に働く力の根源や宇宙の成り立ちについての情報がたくさん隠されているからです。前文部大臣の有馬朗人先生は、当研究所の神岡グループに次の言葉を贈ってくださいました。「宇宙線は天啓である」。この言葉が宇宙線の本質を示しています。宇宙線とはまさに天からの啓示であり、そこには物質の根源のミクロの問題から宇宙のマクロの問題までの情報が詰まっているのです。

歴史的に見ても、そもそも素粒子物理学そのものが宇宙線の観測から生まれました。素粒子の研究はその後しばらくの間加速器実験が中心となりましたが、今また、ハイテクを駆使した大型の観測装置による宇宙線の新たな観測に大きな期待が集まってきています。当研究所は世界で唯一の宇宙線専門の研究所として、これらの期待に応えるべく研究を続けています。


宇宙線の調べ方
宇宙線の調べ方は、調べる対象によって様々です。

一次宇宙線を調べるにはなるべく高いところまで行かなければなりません。高山に登ったり気球を打ち上げたりして調べます。

二次宇宙線の内の電子やガンマ線やミューオンは、地表の広い範囲にシャワー状に降り注ぎ、これを空気シャワーと呼びます。空気シャワーを調べるには空気のきれいな広い盆地が適しています。宇宙線の内、ミューオンやニュートリノは、他の粒子に紛れ込んでしまってなかなか調べられないため、それらの粒子が飛んでこない地下にもぐって調べます。

当研究所の研究は、これらすべてにわたっています。

当研究所では宇宙からやってくる重力波も研究対象に入れています。重力波は、質量を持った物体が運動するときにおこる時空のゆがみが光速の波となって宇宙を伝わって行くもので、アインシュタインの予言の中で実証されていない問題の一つです。非常に小さなゆがみを見つけるため、感度を極限まで上げて重力波を測定します。従って、ゆれのない静かなところで実験します。重力の研究が加わることで、素粒子の研究中で一番遅れていた重力子にも光が当たることになり、物質や宇宙のなぞの解明が大きく進むことになります。


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