SK 12年ぶりの「開封」 気になる9のナゾ

【最大の目標】超新星背景ニュートリノの観測
 今回の改修工事の最大の目標は、宇宙が誕生してから現在までに起こった超新星爆発によって放たれたニュートリノ「超新星背景ニュートリノ」を観測することです。
 超新星爆発が起きる頻度は、ひとつの銀河内だと30〜50年に1度とまれです。しかし、宇宙全体を見回すと数千億個の銀河があり、数秒に1回くらい、広い宇宙のどこかで超新星爆発が起こっていると考えられています。
 その超新星爆発により放たれたニュートリノは、私たちの手のひらを1秒間に数千個通り抜けているほどです。このようなニュートリノを観測することで、超新星爆発のメカニズムを理解し、星が作られた歴史を明らかにしたいと考えています。
【観測方法】ガドリニウムを超純水にまぜる
 超新星背景ニュートリノは、これまでもスーパーカミオカンデで1年間に数回ほど反応しているはずですが、ノイズに埋もれて観測できませんでした。レアアースの1種である「ガドリニウム(Gd)」という物質を水タンクの中の純水に添加することにより、この反応を区別できるようになります。名付けて「SK-Gd(スーパーカミオカンデ・ガドリニウム)計画」です。
 超新星背景ニュートリノのうち最もスーパーカミオカンデの水と反応しやすいのは「反電子ニュートリノ」です。下の反応の②と④のように、「タンク内のほぼ同じ場所から連続する2つのチェレンコフ光が放たれる」という特徴的な信号を観測することで、超新星背景ニュートリノを区別しようと考えています。
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