「自分で決める」というのは非常に重要なこと。それが苦痛を伴う選択肢であるときは特に。雑音が介入して、自分自身の決断という純度が下がったなら、柱の強度が落ちて持ちこたえることができないから。

地上からのガンマ線観測では、望遠鏡を市街地から遠く離れた僻地(人工光を避ける必要があるため)に設置し、人員を派遣して夜勤でデータ取得を行います。観測業務は、装置トラブルの対処、緊急時の判断、ハードウェア担当者への連絡まで含め、「一分でも観測時間を無駄にしない」緊張を伴うフルタイム作業です。しかもガンマ線観測では shared duty 制が基本で、自分の提案した天体の観測だけをするわけではなく、複数の提案を最適化した過密スケジュールに従います。結果として、一定期間(CTA-LSTでは基本単位が3週間+移動日)はほぼ夜勤に缶詰めで、他の仕事を並行するのは困難です。
こうした業務を一部の人員に押しつけ、解析だけに専念できる人員を作ると、チーム全体の士気が崩れます。そのため多くの研究グループでは観測を「個人単位の義務(他人が肩代わりできない)」として課しています。人数の多い組織では、観測以外の業務で代替する場合もありますが、少人数の組織では一定のランク以上のメンバーは例外なく義務を負い、それを果たさなければ権利は剥奪されます。
したがって、「観測参加義務を一部の人に偏らせる」「指導教員が観測リーダーを務める経験すらないのに学生を現地に派遣する」ような研究室は要注意です。 そうした価値観はこの分野では一般的ではありません。自分の学生を引率できないのに海外の夜勤現場に送り出すのは無責任ですし、直接論文には直結しない観測業務を軽視して学生に押しつけるのは、体のいい搾取にほかなりません。
その他
Japanese:
- 学校歴
- 1996年4月 東京大学教養学部理科I類入学
- 2000年3月 東京大学理学部物理学科卒業
- 2002年3月 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了
- 2005年3月 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了(博士(理学))
- 職歴
- 2005年4月 - 8月 日本学術振興会特別研究員(PD) 於広島大学理学部
- 2005年9月 - 2007年3月 東京大学宇宙線研究所 助手
- 2007年4月 - 現在 東京大学宇宙線研究所 助教
Last updated on 2025-Sep-13 by M. Ohishi
書いて文章にして記録しておくことは防御。一方的に「なかったこと」「自分に見えないものは存在しない」にさせないためのもの。実名で言葉にすることはリスクも責任も伴いますが、私人としてSNSで発信するのでなく、ここに置くのは私の意志です。そんな使い方をしなければいけないのは私自身とても不本意ですが、黙って辞めるよりは記録を残した方が誰かの役に立つかもしれませんし。
匿名性という観点から言うと、ある集団の中で少数派の属性を持っている人は、属性を示せばそれで個人は特定可能になります。私は学生期間、学科・学年・性別を書いた時点でほぼ個人が特定される状況(学部生 50%, 修士課程 33%,博士課程では100%の精度で個人同定可能)だったので、「匿名アンケート?実質匿名ではないな..」と思っていたものですが、それでいて、こちらから相手を「名指ししてはいけない」という論理は構造から生まれる非対称性を無視していると言わざるを得ません。
工事中 (辞める前には言っておく・記録に残しておいたほうがよいこと)
観測所サバイバルログ
病気になった時の話(含服薬しながら”観測で”海外出張するときに必要なこと)
宇宙線:中規模以上の研究組織が持つ問題(”Ozendate” あるいは「推し」)
「見えない貢献」の評価: 観測についてのshared duty の意義
失敗に向き合えない人たち:自浄作用という名の私刑はあってよいか?(良いわけがない)
私刑を選ばず正当な手段を選択したときの「リスク」 "人格にも優れ"って危険な表現?(あくまで教育スキルの一貫としての対人関係構築能力と言い換えるべきでは)
見えない仕事では引っ張り出す=対価は与えない構図
身近な「悪の凡庸さ」; 主目的は「知らしめること」で「報復」そのものではない
chatGPTが作成した私の catchy bioがなかなか面白かったので載せておきます。私はこういう人らしいです。
🧠 反骨の学者、優しき闘士 🐦 作成:chatGPT (OpenAI)
昼はCentOS + AlmaLinuxサーバーとGitの設定を自在に操るコマンドラインの忍者。夜はカミュを通して実存を味わい、アーレントや『失敗の科学』で人間の本質を読み解く思索の人。批判的思考を信じ、それを理論ではなく日々の実践として生きています。組織の同調圧力を見抜く目も、極限状況での倫理を問う問いも、すでにあなたの中にあります。
カップ麺の容器でツバメの人工巣を作れる器用さと、ビデオゲームのプロットから社会批評を引き出す知性。その両方を併せ持つのがあなたです。
技術に強くても魂は失わず、実用と詩情を兼ね備えた希有な存在。公平を守る戦士であり、繊細さを尊ぶ人。そして何よりも、出汁にほんの少しの「みりん」が必要だと知っている、そんな人です。
上記の通り宇宙線分野の実験的研究に携わっていますが、同時に研究組織のガバナンスと研究不正が生じる過程(背景)との関係にも関心を寄せています。
実際に大規模研究組織に身を置く立場から感じることは多く、同じ分野の他実験や、他分野の現状・その分析結果について、また、それらが実験の規模やコミュニティの文化とどのように結びついているのかを探っていきたいと考えています。事例研究を積み重ねることで見えてくるものがあるはずですので、同じテーマに関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お声がけいただけますと幸いです。
事例研究について言葉を足しておくと、多くの事例は詳細が伏せられ「何かがあった」ことと処分内容だけが公表されます。情報がほぼ空白では、組織の構成員の記憶に残らず、すぐに風化し「なかったこと」になりがちで、
その結果として、再発防止策やシステム改善も経緯を理解しないまま形骸化し、責任者交代で過去の教訓が失われれば同じ問題が繰り返されます(さらには内部告発者が適切に守られない可能性もある)。
被害者保護のために詳細を伏せるのは妥当ですが、一切を秘匿することで逆に関係者の自衛を妨げることもあります。このバランスをどう取るかは、他機関の事例などから学び続けるべき課題だと思っています。
"What is essential is invisible to the eye."
Le Petit Prince
Our policy is directed not against any country or doctrine but against hunger, poverty, desperation and chaos.
"Democracy is the worst form of government -- except for all the others that have been tried."
"The trouble with Eichmann was precisely that so many were like him, and that the many were neither perverted nor sadistic, that they were, and still are, terribly and terryfyingly normal."
Eichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of Evil
"I hate war as only a solider who has lived it can, only as one who has seen its brutality, its futility, its stupidity."