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太陽系外から飛来する相対論的エネルギーをもった荷電粒子で、1020電子ボルトに達する極高エネルギーの粒子も含まれている(以下の説明参照)。大気に突入すると、大気中の原子核(窒素、酸素、…)と衝突し、以後、連鎖的に反応を続ける (空気シャワーと呼ばれる。)
![]() 大気に突入する宇宙線粒子 (想像図) |
●粒子加速器で人工的に発生できるエネルギーの1億倍に達している。 | |
●もしそんな粒子を1グラム(アボガドロ数個)集めることができたら、日本の電力消費量の100万年分がまかなえる!。 |
何故、宇宙にこんな粒子が存在するのか?これは宇宙線分野に限らず、宇宙物理学・天体物理学全体にとっての最大の謎の1つである。極高エネルギー粒子の起源についての仮説は大きく2つに分かれ、
●未知の素粒子起源仮説 (トップダウン仮説) | |
●極限天体(=高エネルギー天体)における加速起源仮説 (ボトムアップ仮説) |
宇宙線研究所では、理論グループがトップダウン仮説、我々の高エネルギー天体グループがボトムアップ仮説の検討を行うとともに、TAグループが米国ユタ州での観測を行い、それら3種類の活動を合わせて総合的に極高エネルギー宇宙線の起源の研究を行っている。
宇宙線粒子の流量 | ![]() |
左の図は108電子ボルトから3×1020電子ボルトまで、12桁を越えるエネルギー範囲に渡る宇宙線粒子の流量(単位時間・単位面積・単位立体角・単位エネルギー幅あたり到来する粒子の個数)を示している。ところどころに凸凹があるものの、流量はほぼエネルギーの逆三乗に比例していることが見られる。何故、そうなのか?それはまだ解明されていない。 このらの粒子のうち、1015電子ボルト程度までは超新星残骸に伴う衝撃波での加速に起源を持つとするのが定説であり、急速に進展しつつある高エネルギーγ線観測によって証明されると期待されていた。しかし、現在までのγ線観測結果は定説を裏付けず、むしろ謎が深まっている。 こうして、これまで当然視されていた衝撃波加速過程の見直しを始め、磁気リコネクション、磁気乱流に伴う加速など、別種の加速過程も含めた理論的再検討が必要とされている。こうした研究の現状は、衝撃波加速ばかりでなく多種多彩な加速過程の研究に実績のある我が高エネルギー天体グループにとって、活躍のチャンスであるといえる。 |
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宇宙線粒子のエネルギー(電子ボルト単位) |
•興味の幅が広い | |
•基礎的な物理過程に興味がある | |
•現実に存在するものを対象としたい | |
•理論とデータ解析の両方がやりたい | |
•数学は苦手ではないが、所詮道具にすぎないと思っている |