図 1 羊八井高原 (標高 4,300 m) に設置された空気シャワー観測装置
1) 高エネルギー (数〜数十 TeV 領域) 宇宙ガンマ線点源の探索、
2) 超高エネルギー一次宇宙線の組成とエネルギースペクトルの計測、
3) 高エネルギー宇宙線による太陽惑星間磁場構造の研究、
4) 太陽フレア中性子の観測、等です。
主装置として、面積 0.5 m2 のプラスチックシンチレータを用いたシンチレーション検出器 697 台を 7.5 m
間隔で碁盤目状に並べた空気シャワー観測装置を用いています。
荷電粒子がプラスチックシンチレータを通過するときに発する光を光電子増倍管で検出し、その時間と発光量を
データとして収集します。そして各検出器時間と解析することにより元の宇宙線の到来方向、エネルギーを決定
します。現在トリガーレートは 1.5 KHz、一日に取得されるデータ量は 26 GB です。この装置は約 3 TeV の空
気シャワー現象を最も多く検出できますが、このように低いエネルギーの空気シャワーを常時検出できるのは、
世界で本装置だけです (図 1, 4)。
又宇宙線の方向決定精度が約 1 °とこのタイブの観測装置としては最も性能が良く、イベント数が非常に多いた
め視直径約 0.5 度の太陽や月のような宇宙線を遮蔽する天体があればその方向からの頻度が少なくなり銀河宇宙
線による月や太陽の影を鮮明に捉えることができます(図 3)。さらに地磁気の影響で電荷を持つ宇宙線は磁力
線に対し垂直方向、つまり東西方向に曲げられるため、月の影が視位置よりずれます。そのずれ具合いは宇宙線の
エネルギーに依存するため、我々が予想していた宇宙線のエネルギーが妥当であるかの検証になります。このこと
は宇宙線のエネルギーを世界で初めて確認できたといってよいでしょう。又磁力線と同一方向になる南北方向へは
ずれが生じないため、ずれの確認により位置決定精度を知ることができます(図 4)。
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図 2 月の影が地磁気によりずれる | 図 3 月方向からの宇宙線の欠損 (月の影) |
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図 4 月の影のずれと深さによる装置の安定性: (上図:南北のずれ (方向決定誤差<0.01°)、下図、影の深さ (角度分解能 0.9°の時 1 としている。)) |
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図 5 シンチレーション検出器 | 図 6 エマルションチェンバーとバースト検出器 | 図 7 太陽フレア中性子観測装置 |