<<<<<<<<<<<<<<<<<<< CRC News No.676:2004年 9月13日 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> CRC会員 各位 CRC事務局 宇宙線研支部 *******************************< 会 報 >******************************** CRC会員各位、    2004年 9月 13日    CRC実行委員長 鳥居 祥二    CRC事務局 東京工業大学 荻尾 彰一    sogio [at] cr.phys.titech.ac.jp   平成16年度第1回CRC実行委員会の議事要録をお送りします。  学会におけるCRC総会での議論の時間をできるだけ多くするために、各種報告の 時間を制限する必要があります。このため、今回の議事録で報告された内容は、 CRC総会では報告されない予定ですので、この内容をよくお読みいただくようお願 いします。 なお、今回は村木先生による「南米高地訪問報告」という楽しい記事も載っています のでぜひご一読ください。 ---------------------------------------------------------------------------- *************< 平成16年度 第1回 CRC実行委員会 議事要録 >*********** 日 時:7月3日  11:00-16:30 場 所:宇宙線研究所6階大セミナー室 出席者:鳥居祥二(委員長)、森 正樹、福島正己、宗像一起、 村木 綏、谷森 達、     瀧田正人、神田展行、西嶋恭司、戎崎俊一、坂田通徳、柴田槇雄     (以上実行委員)鈴木洋一郎、黒田和明、(以上依頼出席者)、     林田直明、荻尾彰一(以上、事務局) ◯報告 (1)CRC事務局(2004.03.28実行委以降) (林田) ● 訃報;   ◇ 神戸大学名誉教授 藤岡 伍郎 様 が、4月20日ご逝去されました。     謹んで、御冥福をお祈りいたします。 ● CRC活動    (1) 3月28日 ; 平成15年度第4回 CRC実行委員会    (2) 3月29日 ; 平成15年度第2回 CRC総会    (3) 4月09日 ; CRC Web の「速報」を廃止し、「CRC News」を新設    (4) 4月16日 ; 平成16年度CRC選挙開票作業    (5) 6月29日 ; 連絡誌 速報-18号 発行郵送    (6) 随 時  ; CRC News 配信 ===================================================================== ● 平成16年度CRC選挙の開票結果 開 票 日 ; 2004年4月16日(金) 事 務 局 ; 大西宗博、林田直明 立 会 人 ; 大橋英雄 (東京海洋大) 定 足 数 ; 107 (有権者数 321) 有効投票数; 139 (内、記名投票数;2) 無効投票数; 2 2件の記名投票は、プログラムによる自動集計ができなかったため、 開けて目視で書式を整えて、集計に加えた。 ----------------------------------------------------------------- [ CRC実行委員会委員長 ] 順位 氏 名 得票 所属機関 1. 鳥居祥二 69 神奈川大 次点 谷森 達 9 京都大 その他 49 白 票 12 以上の結果、鳥居祥二 氏 が委員長に選ばれた(2期目)。 --------------------------------------------------------------------------- [ CRC実行委員会委員 ] (定員12名) 当選順位 氏 名 得票 所属機関 ------備 考 ------ 当選 1. 森 正樹 48 宇宙線研 同一機関A1位 当選 2. 福島正己 41 宇宙線研 前委員1位 同一機関A2位 当選 2. 宗像一起 41 信州大 前委員1位 同一機関B1位 当選 4. 村木 綏 39 名古屋大 前委員3位 当選 5. 谷森 達 38 京都大 前委員4位 当選 6. 瀧田正人 34 宇宙線研 前委員5位 同一機関A3位 くじ引きA勝 当選 6. 梶野文義 34 甲南大 前委員5位 同一機関C1位 くじ引きA勝 木舟 正 34 信州大 前委員5位 同一機関B2位 くじ引きA負 当選 8. 神田展行 32 大阪市立大 同一機関D1位 当選 9. 西嶋恭司 25 東海大 吉田 滋 25 千葉大 前委員8位 川上三郎 23 大阪市立大 前委員9位 同一機関D2位 大橋正健 20 宇宙線研 同一機関A4位 鈴木洋一郎 18 宇宙線研 前委員10位 同一機関A5位 水谷興平 16 埼玉大 前委員11位 鳥居祥二 15 神奈川大 委員長当選 梶田隆章 15 宇宙線研 同一機関A6位 当選 10. 戎崎俊一 13 理研 当選 10. 坂田通徳 13 甲南大 同一機関C2位 当選 12. 柴田槇雄 12 横浜国立大 くじ引きB勝 次点 荻尾彰一 12 東京工業大 くじ引きB負 次次点 本田 建 11 山梨大 その他 232 白 票 111 無 効 2 以上の結果、上記の当選12位までの 12名の方が委員に選ばれた。 (注1) 委員長に投票された次点以下の方の票(70票)は、委員の票に加算された。 (注2) 「委員12名中、前年度委員が6名を越えることはできない」規定と、 「同票の場合は本人に連絡の上、くじ引きとする」規定により、 木舟正氏、瀧田正人氏、梶野文義氏には「くじ引き(メールジャンケン)」 をして頂いた。その結果、瀧田氏と梶野氏が委員となった。 (注3) 「同一機関から選ばれる委員の数は、3名を越えることはできない」規定に より、宇宙線研の大橋正健氏、 鈴木洋一郎氏、梶田隆章氏は委員とならない。 (注4) 「委員12名中、前年度委員が6名を越えることはできない」規定により、 吉田滋氏、川上三郎氏、鈴木洋一郎氏、水谷興平氏は委員とならない。 (注5)「同票の場合は本人に連絡の上、くじ引きとする」規定により、 柴田槇雄氏と荻尾彰一氏に「くじ引き(メールジャンケン)」をして頂いた結果、 柴田氏が委員となった。 ===================================================================== ● (資料1)「CRC News」メール配信 ( 28件) ○ 委員会報告;6件 3月31日、 物理学会領域化について 4月21日、 平成16年度CRC選挙開票結果 6月08日、 日本物理学会分科・領域委員会 議事録 6月08日、 第19期第3回物研連原子核専門委員会議事メモ(案) 6月08日、 平成15年度第4回 CRC実行委員会 議事要録 6月10日、 平成15年度第2回 CRC総会 議事要録 ○ 公募案内 ;6件 4月19日、 理研 基礎科学特別研究員公募 4月26日、 KEK・加速器研究施設教員公募 5月08日、 KEK・共通基盤研究施設 教員公募 5月24日、 KEK・加速器 非常勤研究員公募(ACCL04-02) 6月08日、 東京大学宇宙線研究所 教員公募 2件 6月25日、 早稲田大学・理工学総合研究センター 専任教員公募 ○ 研究会案内;7件 4月26日、 3rd International Workshop on Nuclear and Particle Physics at J-PARC (NP04) and NP04 Neutrino Session 5月06日、 19th European Cosmic Ray Symposium (Italy) 5月07日、 the Rome 2004 IEEE Nuclear Science シンポジウム 5月16日、 「次世代天文学 --大型観測装置とサイエンス--」シンポジウム 5月18日、 「次世代天文学」シンポジウム案内 の追加説明 5月31日、 第15回「宇宙ニュートリノ」研究会 6月08日、 Workshop on Nuclear and Particle Physics at J-PARC (NP04) 2nd-C ○ その他 ;9件 4月01日、 CRC選挙の投票・推薦の呼びかけ 4月06日、 「CRC会員名簿」更新のお知らせ 4月07日、 CRC選挙の投票・推薦の呼びかけ 4月09日、 CRC Web に「CRC News」新設 4月12日、 CRC選挙の投票の呼びかけ 4月21日、 訃報: 藤岡 伍郎 様 ご逝去 5月11日、 物理学会2004年秋季大会:高知大学 のお知らせ 6月08日、 「CRC会員名簿」更新のお知らせ 6月11日、 CRC 事務連絡 : CRC News No.665 訂正 ----------------------------------------------------------------------------- (2)宇宙線研究所 (鈴木所長): 1)人事、組織関係   着任:     ○理論 教授  川崎雅裕氏 (5月1日着任)     ○カンガルー 助教授 吉越貴紀氏 (5月1日着任)     ○東京大学総長裁量定員    神岡施設 助教授 塩澤真人 (6月1日着任)   転出:     ○神岡施設 助教授 伊藤好孝 (7月15日)   公募:     ○神岡施設 助教授、助手それぞれ1名   部局定員:法人化に伴って定員は35名と決まっているが、特別な配慮で現時点では        37名確保されている。今後の人事は35名を越えているということで常に        交渉必要になるという状況。 2)概算要求 特別教育研究経費 学内的に統一されたフレームワークの中で要求が行われていく方向 3)研究所予算 今年度は前年度並み(すこし増えているかも) 来年度以降 最悪7%程度の減額になる可能性 (法人化に伴う全学的経費増のため。本年度は特別措置) ----------------------------------------------------------------------------- (3)物研連(鳥居):    第19期第3回物研連原子核専門委員会  日時 平成16年5月6日(木)13:30-16:30  場所 日本学術会議  委員 二宮正夫、藤川和夫*、小林誠*、土岐博、堀内昶、大塚孝治、谷森達*、 福島正己*、鳥居祥二、木舟正、吉村太彦、駒宮幸男、高崎史彦、西川公一郎、 渡辺靖志(文責)、武田広、黒川真一*、酒井英行、本林透、橋本治、延与秀人*、 上坪宏道(4部会員)、黒田和明(鈴木宇宙線研所長代理) 村木綏*、小山勝二、山中卓、永宮正治(IUPAP専門委員) (* 欠席)  席上配付資料(報告以外)  1 イギリスの研究所ISISにおけるビーム使用料(永宮) 平成16年3月17日   (History described by Dr. Robert L. McGreevy (Vice Director of ISIS)   March 17, 2004  2 第142回総会 自由討議「新生学術会議の在り方」  3 アンケート「物理・応用物理関連学科出身者から見た学部教育」予備調査結果の   概要  1.報告  1)研究所、センター、コミュニティ報告    基研(二宮:添付1.)    KEK素核研(高崎:添付2)    RCNP(土岐:添付3)    宇宙線研(黒田:添付4)    素粒子センター(駒宮:添付5)    理研(本林:添付6)    CRC(鳥居:添付7)    JPARC(永宮:添付8)    なお、課金問題についての資料として資料1の説明があった。ISISでは、無料だ    ったものを有料化し、また無料化した。その背景やJPARCの場合の難しい事情に    ついて説明があった。    高エネルギー(西川:添付9)    核談(延与:添付10)    理論(二宮:添付11)    IUPAP(山中:添付12)  2.議論  1)新生学術会議について(上坪)    資料2に基づいて新生学術会議についての説明があった。    平成16年年4月14日に学術会議改正の法律が公布され、平成17年10月1日より新    しく出発する。主な改正点は    ・日本学術会議が会員候補者を選考する(Co-optation) 210名      (個別の学術研究団体の利害にとらわれない政策提言のため)      (最初の委員は、30名の選考委員会で選考。その委員のうち3名が決まってい      る) 6年任期で再選なし、3年で半数交代(最初の委員の半数は3年任期)    ・現在の7部制を、人文社会、生命科学、理学・工学の3部制にする。      (新分野・融合分野の出現に柔軟・的確に対応するため)    ・現在の研連(180ある)を廃止し、連携会員を新設する(2400名程度?)。      (緊急の課題・新たな課題に柔軟・迅速に対応するため)      常置、臨時委員会を適宜設置して対応する。    ・総務省から内閣府の所轄とする      (総合科学技術会議と連携して日本の科学技術の推進に寄与するため)  2)欧文誌情報発信WG(仮称)(二宮)   日本発信の欧文学術誌の危機を改善するため、物研連としてもWGをつくって改善を   図ることになったと説明があった。WG委員として、既に決まっている二宮委員に加   えて実験系から渡辺委員を選出した。  3)その他   物理/応物学科卒業生進路アンケート(物理教育小委員会:渡辺)   大学の物理教育改善を目指し、科研費の補助を得て、卒業生の進路、大学でどの   授業が役だったか等についてのアンケート調査を行なっていること、平成15年度に   行なわれた予備調査結果(資料3)についての説明があった。   平成16年度はより多くの大学について調査をしたいので協力をお願いしたい旨要望   された。  添付資料1〜12については、6月8日配信の CRC News 663の「第19期 第3回  物研連原子核専門委員会 議事メモ(案) 」を参照。 ----------------------------------------------------------------------------- (3)KEK(谷森):  第1、2回素核研運営会議 でのCRC関係の報告の抜粋  1、KEKは2004年4月より 独立行政法人となり、経営協議会、教育研究評議会が組織    された。 2、PSシャットダウンのための外部評価を6月7、8日に行ない、シャットダウンの    時期、J-PARCへのアクティビティ-の移行などが議論される予定である。 3、リニアコライダー計画    今年度から、リニアコライダー計画推進室長は、機構長に変わり、 高崎素核研    副所長が勤める。 4、レプトンコライダー計画諮問委員会委員について当面(1年程度)、従来通りKEKB    とリニアコライダーを分けずに審議することとする。 2−3)研究計画委員会について    小林素核研所長の依頼により、KEKの将来の方向性などを議論する    素核研研究計画委員会を立ち上げることとなる。運営協議会で議論の末、特定    のsubjectに限定せずにstanding committeeとして、この委員会を立ち上げる    とした。 ----------------------------------------------------------------------------- (4)STE研(村木): 1.STE研報告   7月16日付けで東大宇宙線研の伊藤好孝さんが、STE研太陽圏部門教授として   着任した。 2.南米高地訪問報告   アタカマ砂漠探索報告  将来南米の高地を利用して研究したい方へ、この情報が参考になればと思いお知ら  せします。もちろんボリビアにも4000mクラスの場所はたくさんあります。チャカ  ルタヤ山の観測所は片側が山なので、残念ながら宇宙線の異方性の研究にはむいて  いません。そのためチリの北部、ボリビアとの国境近辺を調べてきました。  アタカマへのアクセスはカラマ空港から始まる。カラマは近くにチュキカマタ銅山  がある。ここから車で1時間、3400mの峠を越えて、小さな観光の町、サンペドロ・  デ・アタカ マに到着。3400mで良ければ、空気シャワー装置を展開する広大な平原  が途中にある。田舎にしてはほどほどの設備を有した La Casa de Don Thomasとい  うホテルがある。国立天文台のASTEグループの人々がこのホテルを基地に使ってい  る。ここで標高はすでに2430mある。  翌朝早速ジープに乗って、アタカマ砂漠地帯にむかう。アルゼンチンへの国道27号  線を登る。国境までチリ側は舗装されている。出発点から25km地点から傾斜が急に  なる。30km地帯で植物が生えている。い草のようなトサックである。GPSは3800mを  示している。富士山の山頂に近い高度である。4140mでアルゼンチンと・チリを結ぶ  ガスパイプライ ンを越える。35km地点で旧道との分岐点にぶつかる。これをまっす  ぐ右に登っていけば、アルマのサイトに行けるが、道は舗装されておらず、アルマ  は別の方角から道を現在造っている。GPSは4250mを示している。4600m地点で5km先  、ボリビア国境という標識が出てくる。 出発から45-55kmの地点は 高度が4800m弱  あり、緩やかな平原が続く。宇宙線の実験に非常に向いた場所であると思う。丁度  55kmという標識がある地点で舗装道路から離れて右折する。 意外と良い道が続い  ている。前方には国立天文台の10mの電波望遠鏡施設(ASTE)と名古屋大学A研の南天  IIのドームが見える。ここで標高は 4830mである。電力は両グループ共に自家発電  である。  特に頭痛がするわけではないので、より高い山を目指してジープで観測地を調査に  でかけた。左側にまもなくアルマの建設が始まるであろう広大な火星の表面のよう  な大地をみて、右側に東大天文の吉井グループが6.5mの望遠鏡を設置したいという  チャンジャントー ル山(5639m)を見て、5020m帯を走り抜ける。目指すチェロトコ  (5604m)への分岐点はすぐわかった。ジープが何度も通った後が残っている。5400m  地点まで登る。確かに観測装置は置 けそうだし、現に米国のコーネル大学が太陽  光で発電して小型の3K放射の揺らぎを測る装置を置いていたが、すごくきつい硫黄  の臭いがした。これでは体と観測装置にとって良い環境とは言えない。また装置を  運ぶのに道路を一度ブルドーザーで整地しないと大型トラックが入れないだろと思  った。チリのカトリカ大学は宇宙線の研究提案に強い興味を示した。 しかしカト  リカ大学の領分(?)であるチェロトコ山は、観測装置の設置は不可能ではないが観  測環境はかなり悪いのでチリ大学の領分(?)の4800m地帯に置いて様子をみるという  のが良いという結論になった。 以上です。 ----------------------------------------------------------------------------- (5)研究グループ  (a)TA(福島)   特定領域科研費によるTAの建設は、4年の建設計画のうち、第2年目に入った。  望遠鏡サイトとしては、ユタ州政府管理地3ヶ所が確保された。このうちの一ヵ所  で8月からコンクリート基礎等のインフラ工事を行い(ユタ大の貢献)、最初の望  遠鏡格納庫を建設する。昨年度予算で製作した望遠鏡6台をここに設置し、そのう  ちの2台にカメラを取り付けて、本年度中に空気シャワー観測を目指す。高圧デバ  イダとFADCモジュールのプロトは現在試作・試験中である。トラックファインダー  は米国と共同で開発している。地表検出器設置場所の8割を占める連邦政府所有地  の使用許可を得るために、6月に現地調査と場所確認の杭打ち作業を行った。  1000キロ以上をATV車で走る強行軍であったが、ユタ大の支援と日本の若手研究者  の頑張りで、10日間で 520箇所の杭打ちを行った。今後、稀少植物やインディアン  遺跡の調査を経て、使用許可が得られる予定である。並行して、砂漠の環境破壊に  ならないよう、ヘリコプター及び特殊バギー車を用いた運搬設置方法を検討してい  る。地表検出器は、大学での要素開発を統合したプロトタイプを明野で製作中であ  る。明野での試験を経たのち、20台規模のアレイを現地に設置して、本年度中に空  気シャワーの観測を行うことを目指している。日本における 2.4GHz無線LAN試験は  終了し、最終モデルでは20km以上の到達距離があることを確認した。米国での電波  管理法規に基づいた試験無線局の開局申請を米国側で準備中である。特定領域内の  LHC較正実験は正式にCERNの実験として認められ、今夏にはプロト検出器のビーム  試験を行う。  (b)重力波(黒田)   TAMAでは昨年度LIGO・GEOとの共同観測を通算2回行い、データ解析を進めている  。TAMAの目標感度達成のため200Hzから1kHzまでの周波数領域について雑音源を特定  する作業を進めている。2005年度までのTAMAを用いる研究では、干渉計の安定動作の  ために、4枚の主鏡懸架系に付加する形で超低周波防振装置SASの組込み及びこれを  用いる実験を行う。LCGT設計がほぼ固まり、費用見積もり作業を行っている。また、  LCGTのR&Dにおいて、鏡成膜に起因する熱雑音が、室温の鏡を用いるLIGO(II)では問  題となるのに対してLCGTでは低温により克服できることが分かった。低振動冷凍機の  開発が進み、数件の特許を申請した。実証型低温レーザー干渉計CLIOの建設が順調に  進んでいる。2005年、重力波の国際会議Amaldi6を沖縄で開催する準備を進めている。  (c)神岡(鈴木)  SKーIのデータのまとめ:   大気ニュートリノは最終結果をまとめ、論文の最終まとめにはいっている。  大気ニュートリノ振動の振動パターンを観測した。ニュートリノ振動のだめ押し結  果である。三世代解析は続行中である。  太陽ニュートリノも最終結果をまとめ、最終のまとめにはいっている。残念ながら  昼夜の違い、スペクトルのゆがみは有意には見えていない。  SKーIIの結果:   再建後のデータの解析結果が得られている。結果はSKーIとコンシステントである。  全面復旧:   SKーIIは来年の11月まで、このままの状態ではしり、その後、全面復旧の作業に  はいる。再来年の7月には満水状態となる予定である。  (d)カンガルー(森)  ○4台の10m口径チェレンコフ望遠鏡システムとしてCANGAROO-IIIは2004年3月観測を   開始した。チェレンコフ光のイメージをステレオ観測することにより、天体ガン   マ線が大気中で起こすシャワーから放出されるチェレンコフ光を立体的にとらえ   、角度分解能とエネルギー分解能を向上させ、200GeV領域ガンマ線の観測がより   高感度で行えるようになった。  ○10m望遠鏡による観測結果を二件公表した。    銀河中心からのガンマ線信号の検出:     K.Tsuchiya et al., ApJ 606, L115-L118 (2004)    PSR1259-63/SS2883からのガンマ線信号の上限値:     A.Kawachi et al., ApJ 607, 949-958 (2004)  ○完成したシステムで今後数年間は観測を続けていく。そのために旅費の確保と   ともに、望遠鏡の保守・改修・改良が必要である。  (e)チベット(瀧田)   2003年秋に56台のシンチレーションカウンターをTibet-IIIの外周部に増設し、  連続運転に入った。この増設により数TeVのエネルギー閾値の有効面積が28000平  方メートルから37000平方メートルに増加する予定である。1996年から1999年に  かけて行われたエマルションチェンバーのデータ解析が終了し、、バースト検出  器、空気シャワーアレイ(Tibet-II)との連動実験の予備的な結果を2003年つく  ばの宇宙線国際会議にて発表した。kneeエネルギー領域の一次宇宙線化学組成は  重粒子成分が支配的である。また、地球の公転運動に起因する宇宙線強度異方性  (コンプトン・ゲッティング効果)のエネルギー依存性が世界最高精度で観測さ  れた。TeV領域の低エネルギー側ではコンプトン・ゲッティング効果とのずれが  観測され、その原因究明を現在精力的に行っている。特定領域終了後の次期計画  及び今後の外部資金獲得方法についてもグループ内で真剣が議論が進んでいる。 ===================================================================== ○ 審議 (1)入会希望者 ○ 川崎 賀也 (かわさき よしや) (理研 研究員) 推薦者:戎崎俊一、清水裕彦 (研究歴): アメリカユタ州で行われた7素子宇宙線望遠鏡実験で、TeVガンマ線 の観測に携わり、Mkn501からのフレアの検出で博士号を取得した。 現在は理研で、EUSOの焦点面検出器の開発を行っている。 ○ 得能 久生 (とくのう ひさお) (宇宙線研 研究員) 推薦者:福島正己、林田直明 (研究歴): 1999-2004年 BASJE グループに参加し、空気チェレンコフ光の横方 向分布測定による Knee 領域一次宇宙線化学組成の研究を行い、 その結果について学会で発表した。現在は、TA グループに参加し 大気蛍光望遠鏡用カメラの較正などに携わっている。    以上2名の方の研究歴が紹介され、審議の結果、全員の入会が承認された。 (2) 退会申し出 ○ 鈴木 理映子 (元宇宙線研 -->他分野)氏の退会が了承された。 (3)OBOG会員希望者 ○ 荻田 直史氏からの希望があり、OBOG会員として承認した。 (4)宇宙線奨励賞   今年度も以下のスケジュールで公募を実施する。    8月前半 公募発表    9月末 締切    10-11月 審査    11月末 審査会開催 → 公表   審査委員の候補者を選び、実行委員長から依頼することとする。   注)CRC実行委員会後の交渉で委員(任期2年)はすでに決定し、公募通知を     7月14日付けの CRC News No.670 で配信すみ。   (5)物理学会の宇宙線・宇宙物理領域運営委員会委員および領域副代表の選出     物理学会における宇宙線・宇宙線物理分科の領域化に対応して、先の物理学会の   インフォーマルミィーティング(全体懇談会)において領域運営委員会をつくる   ことが決まったことをうけて、CRCから以下の3名の運営委員を選出した。   注)この運営委員会は物理学会の組織ではなく、領域の運営を円滑に進めるため     の自主的な組織です。      神田、戎崎、西嶋の各実行委員(敬称略)   領域副代表(16年10月-17年9月)として杉山直氏を、次回の全体懇談会で推薦   することを決定した。森正樹氏が第1期の領域代表になることが決まっている   が、その後の代表は、副代表が自動的に就任する。 (6)CRC主催将来計画シンポジウム   昨年度のCRC将来計画シンポジウムに続いて、今年度も同趣旨のシンポジウム   を開催する。開催時期は、2005年度1月6日、7日とし、場所は宇宙線研究   所。前回のシンポジウムでは、すべてを口頭発表とし、テーマの選択なども実施   しなかったので、羅列的な発表に終わったとの反省から、今回はテーマ選択した   。選択されたテーマ以外にも、ポスター発表と若干の口頭発表を受けつけること   として、秋の物理学会までにテーマを募集し、その時の実行委員会でプログラム   決定する。(選択されたテーマは、公募時に発表。)   将来計画とシンポジウムの実施方法について以下の議論が行われた。この議論を   踏まえて、シンポジウムのやり方を検討する。   注)この議論は、実行委員会の見解というわけでなく、委員の発言を示したもの     です。  -----将来計画について-----  ○LCGT計画はICRRの予算規模を越えている。天文台、KEKを含めたより大きな枠組   みの中で実現を図る方向で検討してみてはどうか。  ○重力波の将来計画予算は大きく、宇宙線研、KEK、天文台の3機関で協力して推   進することが決められているが、CRCが主体としてバックアップする態度をと   ってほしい。  ◯KEKにおけるJLC計画のように、巨大計画が実現するまで他の研究が動かない、   というような二の舞は困る。(KEKほど内部予算が無い以上、KEKよりもひどいこ   とになる。)  ◯宇宙研との関連、宇宙空間での観測について考えるべき(提案)。  -----シンポジウムについて-----  ◯前回は講演をセレクトせずにやった。今回はoralはセレクトすべき。  ◯それ以外はposterとする → 重要なものはoralへ。  ◯oralに関連するposterも受けつける。  ◯J-parcは宇宙線分野だけの将来計画ではないので、単独の発表はそぐわない。   ニュートリノの将来計画の一つとして、しゃべってもらうのがいいのでは。  ◯質問、ディスカッションの時間を長く取る。フィージビリティ、国際競争性など   の議論が必要である。  ◯ダークマターは、「非加速器素粒子物理」として募るのがよいのでは。  ◯時間配分は委員長に委せる TA 一時間、他40分?  ◯ラポーター(まとめ、全体の印象を話してもらう)を依頼して、分野ごとのまとめ   をしてもらってはどうか。建設的なコメントをしていただく。  ◯海外の関連研究の動向とそれとの競争力、協力関係、年次計画、予算規模は必ず   しゃべってもらうこと  ◯原案 : 委員長 → 委員へ  ◯公募期間 : 次の実行委員会まで  (7)その他  宇宙線研究所の役割について自由討論を行い、以下のような議論があった。  ◯「宇宙線観測センター」(これは中期計画にある) お金を取るようICRRに強く   働きかける。  ◯ニュートリノばかりに情報を集中せず、広い範囲の宇宙線へ  ◯ICRRに「....センター」を作っても、旅費等でのメリットはない。  ◯来年以降の概算要求として出て行く可能性はある。  次回 委員会予定 9月28日 CRC実行委員会 9月29日 CRC総会 ===================================