<<<<<<<<<<<<<< CRC News 2022年9月1日 >>>>>>>>>>>>>> CRC会員 各位 CRC事務局 **<大阪大学核物理研究センター研究計画検討専門委員会議事録(案)>** 日時:令和4年4月6日(水) 場所:大阪大学核物理研究センター本館2階会議室と Zoom を利用したハイブリッド会議 出席者 * センター長:中野貴志(RCNP) * 委員:銭廣(京大)、小沢(KEK)、坂口(九大)、前田(宮崎大)、三輪(東北大)、堀内(大阪公大)、宇都野(原研)、兵藤(都立大)、吉田(京大)、田島(名大)、田島(京大)、後藤(新潟大)、石井(RCNP)、佐久間(理研)、青井(RCNP)、民井(RCNP)、大田(RCNP)、福田(RCNP)、神田(RCNP) * オブザーバー:梅原(RCNP)、清水(名大)、野海(RCNP)、飯沼(広大)、郡(RCNP)、時安(東北大)、保坂(RCNP)、緒方(九大)、畑中(RCNP)、本多(KEK)、井手口(RCNP)、C.A.Ur(ELI NP)、川崎(KEK) 令和4年度研計委役員選出 * 委員の互選により、委員長として前田幸重氏、幹事(所外)として小沢恭一郎氏、幹事(所内)として大田晋輔氏が選出された。 * B-PAC委員選出 P-PAC委員より、坂口聡志氏、三輪浩司氏、堀内渉氏を選出した。課題申請件数と分野拡大に対応するための委員を一人、ミューオン系の方から推薦することとなった。残りの委員は、センター長・委員長で推薦することとなった。 * Q-PAC委員選出 令和3年度の委員を推薦することとなった。 報告事項 1. 一般報告(中野センター長) 近況について報告があった。 * 准教授人事(理論)2022年3月1日締め切り – 国際サブアトミック科学研究拠点期末評価・次期認定 – 期末評価結果は A。次期認定が認められた。 * 短寿命 RI 供給プラットフォーム – 緒方准教授の異動に伴う人事事後評価結果は A-。6年間の継続が認められた。 * 令和4年度概算要求 – 量子ビッグデータ収集基盤整備事業→データ収集基盤室 – 教授1,助教1の純増、職位は変更可能、期限付きの予算だが人件費の基幹経費化も見込んで、組織整備ポストという新たなカテゴリー(任期なし)での運用が可能 * AVF サイクロトロン更新 – 変更申請が3月16日に承認された。 2. RCNP 加速器アップグレード報告、許可申請の状況と今後のビーム提供の見込み(福田) 3月16日に変更申請が承認された。(申請書提出から約10ヶ月かかった)申請は、当初目的のビーム強度10倍以上を一度で目指すものではなく、段階的に行う。今回承認されたのは第1段階であり、これによりアップグレード前の状態のビーム強度に戻すことができた。まだいくつか不具合を抱えているが、それを解決しつつ加速を進めている。ビームが無事に取り出せたら、施設検査を申し込む。4月中に検査を受ける事を目指してこれから準備を進めていく。その検査に合格すれば、ビームを実験利用することが可能になる。当面の加速については次のとおりである。現在最優先で行っているのは、施設検査に必要な Proton 65 MeVである。これが合格次第、リングサイクロトロンに入射して 390 MeV にする。Proton については、これまで非常に高い分解能を達成してきた 295 MeV を作って、グランドライデンと組み合わせた高分解能実験ができるように、クオリティの評価・調整を行っていく。アスタチン製造用の 4He 29 MeV について、(27マイクロアンペアまで、いきなり行くか分からないが)できるだけ多くのビームを供給することで沢山のアスタチンを作り、現在始まっている医師主導治験に協力できるようにする。これらの後、共同利用実験に使われる加速粒子とエネルギーを順次増やしていく。 3. 令和3年度の会計報告(青井) 令和3年度の一般実験費決算報告が行われた。 令和3年度の一般実験費の配分額は10,000 千円で、執行額は 15,630 千円であった。従来は 40,000 千円ぐらいあったのだが、現在は加速器のアップグレードが最優先ということで、緊縮財政であることに注意する。令和3年度の特徴としては、本当に最低限の実験室を維持するだけで、MT 再開に向けて再開したときのビームラインの整備や BPACの実験等に当てられた。一般実験費のほとんど(14,204千円)は、共同利用環境整備である。共同利用環境整備以外では、BPAC実験(ビームが再開したときにすぐに実験できるようにするための準備)に 901 千円当てられている。共同利用環境整備の内訳は、共通回路(4,445 千円)、環境整備(1,769 千円)、GR 整備(542 千円)、ENコース整備(279 千円)、AVF 実験整備 (2,123 千円)、実験装置ビームライン関連消耗品(1,907 千円)、装置(1,416 千円)、真空(1,722 千円)である。例年多かった実験装置ビームライン関連消耗品は、令和3年度は190万円程度に収まっており、各種部品、真空部材、工具、安全対策等に使われている。プロジェクトに関しては、519 千円使われている。その内訳は、共共実験(376 千円)、BRILLIANT(144 千円)である。 4. QPAC報告(佐久間) 令和3年度第2回 Q-PACが、2022年2月21日にオンライン会議として開催された。中野氏から、LEPS で行われていた Theta+の解析が報告された。新山氏から、LEPS2 Solenoid 実験について、2021年度後半の状況が報告された。2021B において取得したデータに対する解析が進行中であり、LD2 標的を用いた物理ランで得られたデータの解析の途中経過が示された。村松氏から、LEPS2 BGOegg 実験に関して、研究活動の近況が報告された。また、Phase-II 実験に向けたプロポーザルが提出された。テスト実験が二件行われて、それぞれ報告があった。1つ目に、辰巳氏から低屈折率エアロゲルを用いた、閾値型のチェレンコフ粒子識別検出器の性能評価の結果が報告された。詳しいことは延べられなかったが非常に成功したということであった。 2つ目に、冨田氏から、FNAL での EMPHATIC 実験及び J-PARC での E16/E50/Drell-Yan 実験それぞれで用いることが予定されている形状の異なる幾種類かの RPC に対するテスト実験の結果が報告された。ガス漏れやカーボン薄膜の不具合等の問題で、予想されるパフォーマンスを十分に得ることができなかったが、問題点も明らかになった。今回の結果を受けて、再テスト実験のためのビームタイムを新たに要求している。最後に與曽井氏から全体報告を行われた。2021B 利用状況と2022A 予定について報告された。LEPS2 冷却設備熱交換器洗浄、MPPC アレイによるビームプロファイル測定の結果についても報告された。次回の Q-PACは、2022年8月5日(予備日:2022年8月9日)である。最後に、Q-PACの今までのすべてがまとまったペーパー が作成されたと報告があった。 https://sites.google.com/rcnp.osaka-u.ac.jp/q-pac/ 5. 研究会報告(石井) 次の3件の研究会が終了し、報告書が提出された。 * International Workshop on the Extension Project for the J-PARC Hadron Experimental Facility (J-PARC HEF-ex WS) 報告書は、次の URL に記載済み。 http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/Divisions/plan/p-pac/summaries/rcnp-ws-report_JPARC-HEF-ex.pdf * 3rd International Conference on Nuclear Photonics (NP2020) 報告書は、次の URL に記載済み。 http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/Divisions/plan/p-pac/summaries/rcnp-wsreport_NP2020.pdf * Muon X-ray and gamma-ray spectroscopy ---new era of non-destractive element analysis, chemistry and nuclear physics. New possibilities for nuclear physics via muon capture reaction 報告書は、次の URL に記載済み。 http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/Divisions/plan/p-pac/summaries/rcnp-wsreport_muon21.pdf 6. PPACプロジェクト終了報告(時安) 「Search for Axions to Resolve the Strong-CP and Dark Matter Problems」 * プロジェクト概要 – 単一光子測定を用いた宇宙暗黒物質候補アクシオンの探索を目的とする。 – 京都大学で行われていた CARRACK 実験の装置を改良して、新手法(光イオン化)で、未探索質量領域(50-10μeV)で探索を行う。 – 本実験に向けた実験環境(特に低温施設)の確保を打診しつつ、実験に向けた原理検証を目的とする。 – 主な開発事項は、(i) バンチ化原子ビーム装置 (ii) 低温下で動作可能な電子検出器の開発。 * プロジェクトの経緯 – 2017年度、RCNP プロジェクトとして採択された。 – 阪大産研、京都大学に実験室を借用して基礎研究を行ってきた。大型実験装置の保管のためのスペースの提供を受けた。(改修前、AVF 大扉) – 2020 年初頭より、新型コロナウイルス感染拡大の影響で研究が遅延。 – 2021 年度に大型科研費応募に申請するため、基礎開発の場として産研継続利用のため延長。 – 現在、産研の実験室の借用を終了。老朽化した装置の廃棄。主たる実験装置は福井大、東北大に移設。 * 測定手法の概略 – プリマコフ効果により、axion を7T の強い磁場中で O(10 GHz)の光子に変換。黒体輻射からくる背景事象を抑えるために、極低温下(100 mK)での実験が必要。 – 10 GHz の光子をとらえるため、高励起状態にあるリドベルグ原子を用いて、直接光イオン化によって電子に変換して、電子を測定する手法を用いる。 * バンチ化原子ビーム装置開発 – クライオスタット内にリドベルグ原子をビーム状態にして導入する必要がある。ビームをバンチ化することで、パルス同期によって背景事象を抑制する。 – 達成事項としては、 # 各構成部分を制作し、装置を組み上げ、真空度を確認した。 # レーザーの安定化については、もともと行われていた京都大学の実験よりも、更に安定化させることに成功した。 – 産研の実験室利用停止により、装置一式を福井大に移設する。今年度以降、再度組み立てを行い、評価実験を継続予定。 * 低温下で動作可能な電子検出器の開発 極低温下での電子検出は、電子加速を行い、それをプラスチックシンチレータで光に変え、極低温下で光読み出し検出器(MPPC)によって検出することにより行う。 – 達成事項としては、 # (液体窒素程度の)低温下では MPPC が動作することを確認した。 # 適切な閾値を設ければ、BG event rate を抑えることができることを確認した # 放電が抑えられる真空度(〜10-4Pa)を決定した。 – 次の問題点が明らかとなり、今後の課題として残った。 # 低エネルギー電子を測定するための遮光が困難。 # 長期間の安定した動作のためには、さらなる放電対策が必要。 # 産研では線源が利用できなかったため、clear な信号は確認できなかった。 – 電子検出器の本体は、現在東北大学に移設。実験環境(真空装置)の準備を行っている。 まとめ – 産研の実験室利用停止により、実験装置は福井大と東北大に移設。 – 各研究室で再度装置の組み立てを予定。 – 引き続き探索実験に向けて実験装置性能・効率向上のために研究は継続の予定。 – プロジェクト遂行中に得られた幾つかの結果に関して技術論文を執筆中。 7. PPACプロジェクト・国際共共プロジェクト関連ビームタイム専門委員会報告(Ur) PPACプロジェクト「Study of Three-Nucleon Force Effects in p+3He Scattering at Intermediate Energies Measurements of the cross section at 100 MeV」(Spokesperson: Kimiko Sekiguchi (Tohoku University) )と、国際共共プロジ ェクト「 ONOKORO Project: Knock-out reaction studies of clustering in heavy nuclei」(Spokesperson: Tomohiro Uesaka(RIKEN) and Juzo Zenihiro (Kyoto University))のビームタイム申請について、2 月に開かれたビームタイム専門委員会の審査結果が、専門委員会委員長の Calin A. Ur 氏により次の報告がなされた。 * 2つの申請とも学術的価値が非常に高く、RCNP の検出能力の点からも妥当である。 * これらの理由によって、これらの 2 つの申請を Grade A と判定する。 * 専門委員会では、2 つの申請を採択し、今年中に実施するようプログラムを計画することを推奨する。 専門委員会のこの答申を受けて、年内に他の実験よりも優先してこの2つのプロジェクトにビームタイムを配分するかについての議論がなされた。しかしながら、4月6日の P-PAC内では最終的な結論は出なかった。 審査事項 1. 研究会審査 次の9件の研究会の申請について審査が行われた。 * 中性子と原子で探る基礎物理 – 責任者:畑中吉治(阪大 RCNP) – 審査結果:採択(40 万円) – コメント:RCNP で進めているプロジェクトに関連する研究会であり、意義を十分に認める。委員の中から国際研究会として開催してほしいという意見がでた。(国際研究会か国内研究会か明示されていない)KEK との共催も検討してみることを勧める。経費の40万円は妥当である。 * 原子核実験の先端データ収集システム---標準化と将来-- – 責任者:本多良太郎 – 審査結果:採択(0 円) – コメント:プロジェクトとしてすでに走っているものであり、コミュニティー全体に関わるものなので、RCNP 支援研究会として開催する意義が十分に認められる。しかしながら、経費については、プロジェクト経費の中でやっていく事が望ましい。 * SNP School 2022 (International School for Strangeness Nuclear Physics 2022) – 責任者:保坂淳 – 審査結果:採択(50 万円) – コメント:International School であり、継続性と意義を考えて、RCNP 研究会として認める。経費の50万円も妥当である。 * 低エネルギー核物理と高エネルギー天文学で読み解く中性子星 – 責任者:内藤智也 – 審査結果:採択(40 万円) – コメント:研究会の内容は、RCNP の物理と関わっていて十分な意義を認める。金額75万円は大きいので、40万円に留める。理化学研究所からのサポートも得る努力をしてほしい。 * 原子核反応研究の最近の話題と将来 – 責任者:緒方一介 – 審査結果:採択(40 万円) – コメント:核反応の研究会というテーマの重要性を認めて、RCNP 支援研究会として開催を認める。しかしながら、内容や趣旨に関して説明が少なく不明な点が多い。この研究会の規模でカバーする範囲を、もう少し議論し明確にすることが望ましい。広い視野と書いてあるので、世話人もそれに対応してある程度広い分野から選ぶことが望ましい。これらの点について、アナウンス等で気をつけていただくことに加え、報告書にもこの点を盛り込んでいただきたい。経費の40万円は妥当である。 * 原子核実験の次世代データ収集システム基盤開発にむけて – 責任者:大田晋輔 – 審査結果:採択(0 円) – コメント:プロジェクトとしてすでに走っているものであり、コミュニティー全体に関わるものなので、RCNP 支援研究会として開催する意義が十分に認められる。しかしながら、経費については、プロジェクト経費の中でやっていく事が望ましい。 * 微視的系と巨視的系における核子対凝縮相 – 責任者:大田晋輔 – 審査結果:採択(30 万円) – コメント:内藤智也さんを代表とする研究会申請「低エネルギー核物理と高エネルギー天文学で読み解く中性子星」(本申請の代表者である大田晋輔さんも世話人として参加している)と内容・時期ともに密接な関連があるが、本研究では核子対相関にもう一回スポットを当てて新しい研究会を開きたいという提案である。物性理論とセミナーをつなげることも検討中とされている。研究会の規模が国内20人程度というのが、12人の招待講演と5人の世話人を含んだものであるとする理解が正しければ、研究会と呼ぶには小さすぎ、狭すぎる。この場合、むしろ、CoreNET の方が適切であるかもしれない。共同利用研でオープンにしている研究会であるため、研究会として開催するためには、十分にアナウンスをして、いろいろな人を 呼んでほしい。20人と言わず、広く参加できるような体制での開催を期待する。この研究会をキックオフにして、今後 CoreNET の利用も視野に入れてほしい。今後の発展を期待する。金額は、規模を考えて、30万円にとどめる。 * 研究用原子炉を用いた原子核素粒子物理学 – 責任者:清水裕彦 – 審査結果:採択(20 万円) – コメント:新しい内容であり、RCNP からも2人世話人に入っている。RCNP に関連する物理に広がっていく可能性もあり、十分な意義を認める。経費の20万円は妥当である。 * 宇宙核物理の新展開 – 責任者:民井淳 – 審査結果:採択(35 万円) – コメント:RCNP の物理と強く関連している。また、10月にベトナムで開催される宇宙核物理の国際会議OMEG16 への日本からの寄与を盛り上げる役割も念頭に置いており、意義も十分にある。経費の35万円は妥当である。 2. 国際共共プロジェクトの call for 文について(神田) 新しく入った委員のために、国際共共プロジェクトの概要と審査方法・審査スケジュールの概略が神田氏から説明された。しかしながら、時間の関係から call for 文については、メールで議論することとなった。 3. 国際共共プロジェクト(カテゴリー1)審査 課題名:Development of various polarized nuclear targets with dynamic and static nuclear polarizations 代表者:飯沼昌隆(広島大) 審査結果:差し戻し 4. 国際共共プロジェクト(カテゴリー2)LOI 審査 課題名:Study of Discrete Symmetries in Polarized Epithermal Neutron Optics (NOPTEX: Neutron Optical Parity and Time-Reversal Experiment) 代表者:清水裕彦(名古屋大) 1月から2月に渡って LOI の審査が専門委員会によって行われた。専門委員会委員の野海博之氏から審議結果についての説明があった。学術的意義を認め、P-PACによる審査を承認するという内容である。これを受けて、国際共共プロジェクト(カテゴリー2)審査の次の段階に進むことが承認された。 前回議事録について 一週間を目処に修正やコメントを募り、問題がなければ承認されることとなった。 次回日程 9月には物理学会と INPC があって難しいため、8月となる。B-PACが行われる場合、B-PACの後であることが望ましい。(B-PACの後でなければならないことはない)B-PACの時期に関しては、B-PAC委員が確定した後、B-PAC委員の都合によって決定される。