<<<<<<<<<<<<<< CRC News 2015年 6月 13日 >>>>>>>>>>>>>> CRC会員 各位                             CRC事務局 ***********************< MAXI 運用延長のご報告 >*********************** CRCの皆様、 MAXI(国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置)の 2018年3月末までの観測運用が承認されたことをご報告いたします。 MAXIは、現在運用されている世界でただ一つの全天X線監視装置として、新しいX線源の出現速報、高エネルギー天体(中性子星の連星系、ブラックホールの連星系、活動銀河核、白色矮星など活動的星)の長期にわたる強度変動モニターの提供、X線アウトバースト(突発活動)の速報により、全世界の天文学コミュニティーに貢献しています。今までの実績に加え、2016年には優れた指向型X線天文衛星であるASTRO-Hの打ち上げが予定されている状況で、MAXIの重要性が評価されました。今回の延長審査にあたって、支持の声を寄せてくださった皆様に深く感謝いたします。今後3年間、MAXIチームは更に緊張をもって運用していく覚悟です。延長観測により、さらに成果を上げ、また観測データの公開、突発現象の速報によって天文学・宇宙物理学コミュニテイーに貢献していきます。皆さんのご理解ご協力をお願いします。 MAXIの観測装置の一部はすでに芯線の消耗や微小デブリによるガス洩れのため機能が低下していますが、正常に機能している装置を用いて、今後3年間は問題なく観測運用を継続できる見込みです。2018年4月以降の更なる延長に関しては、3年後にまた審査されることになります。 今までの運用と審査の経緯は、以下のとおりです。 MAXIは、2009年7月に国際宇宙ステーションに運ばれ、同年8月より、X線による全天の監視を開始しました。当初から予定されていた初期運用および2年間の定常運用の後、審査を経て2015年3月まで3年間の後期運用が実施されました。後期運用期間の終了を控えて再度の運用延長の可否がJAXAにおいて審査が行われました。ミッション運用延長によって期待される科学的成果に関わる観点の審査を宇宙科学研究所宇宙理学委員会において行った上で、JAXA有人宇宙技術部門において資金・体制等を含む総合的観点から後期運用延長確認会が実施され、運用経費の節減に向けて継続的に取り組むことと2件の要処置事項の処置を条件に3年間の後期運用延長が承認され、先月に処置が完了しました。 MAXIは、新たなブラックホール連星をほぼ毎年一個の割合で発見するなど新天体の発見、潮汐破壊現象や古典新星の点火の瞬間など稀な現象の発見、既知天体の突発現象の速報、多数の巨大恒星フレアの検出、ガンマ線バーストの速報、活動銀河核の活動のモニター、全天のX線源のカタログ、大規模に広がった軟X線放射の撮像分光などの成果を上げてきました。X線源の光度曲線、全天X線画像のMAXIの観測データは、maxi.riken.jp において公開されており、さらに任意の天体に対して光度曲線、スペクトルのオンデマンド解析を行うことができます。また、速報は、ATEL (astronomerstelegram.org)または GCN (gcn.gsfc.nasa.gov)、および専用メーリングリスト(maxi.riken.jpにて登録)へ配信しています。 MAXIチーム(文責 河合誠之)