大橋 正健

おおはし まさたけ

 

    

                    KAGRA観測開始 2020.2.25

【略歴】

19843         東京大学理学部物理学科卒業

1986 3        東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 修士課程修了

198812       東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 博士課程中退

198812       東京大学理学部付属天文学教育センター助手

19904         国立天文台 助手

1994年9月     博士(理学)取得)

19993         東京大学宇宙線研究所 助教授

20074         東京大学宇宙線研究所 准教授

20144         東京大学宇宙線研究所教授

20164         東京大学宇宙線研究所附属重力波観測研究施設長

 

【重力波研究について】

これは某書籍(著者は高橋真理子さん)にも書かれてしまったことでもあるが、

私は実は最初から重力波研究を目指していたわけではなく、大学院の発表を見に

行ったところ、重力波研究をやることになっていた、というのがきっかけであった。

研究を始めてすでに40年、この研究分野を取り巻く環境は一変した。2020年の

KAGRAに関わる新聞記事を調べてみると、その量の多さに驚いた。重力波研究が、

最先端のサイエンスになってしまっていたのである。

 

さて、そのような変遷の間に、学生の関わり方や貢献度、また、受ける恩恵はどう

なったのであろうか?いつの時代も博士課程の学生が、研究の最も苦しくて最も

面白い場にいたと思うし、貢献度も大きいはずである。そういう意味ではあまり

変化が無いようにも思えるが、しかし、現在は大学院における研究活動は社会的に

認められるようになり、経済的な支援も受けられるようになった。これは学生の

精神衛生上とても大事なことで、研究を進める上では大きな推進力になっている。

 

最後に、期待を。重力波プロジェクトに関われたことは私にとって幸運だった。

重力波研究は既に大きな研究分野になりつつあるが、まだまだ開拓期であり、

やることはいくらでもある。若手研究者にはできるだけ存在感を出してほしい。

重力波を最初に検出するという競争はLIGOの圧勝で幕が下りたが、重力波天文学

という第2幕が始まっている。活躍の舞台は整っている。

 

できるだけ多くの人にこの舞台に参加してもらいたい。