活動銀河核(AGN)

銀河の中にはブレーザーなどと呼ばれる、ガンマ線において普通の銀河よりはるかに明るく輝くものがあります。
電波銀河M87 ブレーザーや多波長で明るい電波銀河、セイファート銀河、クェーサーといった銀河の中心には活動銀河核(AGN)が存在し、上下にジェットを噴出しています。 ジェットは光速の99%以上という相対論的な速度に達し、大きなものでは百万光年もの距離にわたって宇宙空間に伸びています。 一方でAGNのサイズは小さく、わずかに太陽系ほどであるにも関わらず噴出されるジェットの光度はじつに銀河全体に匹敵し、激しい時間変動を示しています。
その正体はいったい何なのでしょうか。

これらの特徴を説明できる唯一の天体――それは太陽の約一億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールです。 ブラックホールは降着するガスの重力エネルギーを解放することで極めて効率よくジェットを駆動できますが、実際のメカニズムはまだよく分かっていません。 CTAの感度をもってすればブレーザーのスペクトルに関して詳細なデータが得られると期待でき、またこれまで分スケールの変動しか感知できなかったところを秒スケールまで捉えることが出来ます。 これらにより、放射のモデルについて大きく踏み込んだ議論が可能になります。 加えて、AGNのジェットは衝撃波により粒子を巨大なスケールで加速し、長年の謎である最高エネルギー宇宙線の源となっているのではないかと考えられ、現在精力的に研究が進められています。 また、CTAにより赤方偏移z~2までの遠方のAGNを観測できると期待されています。 このような宇宙論的距離にある天体の系統的研究は銀河の進化を解明する上で重要であり、他にも宇宙背景光を通じた星形成史の研究、ALPsと呼ばれる未発見の粒子の探索など興味深いトピックにあふれています。

超巨大ブラックホールの想像図